いろ電話研究所の研究日誌

平成の残り香が楽しめる老舗ISP、ODN を使う

2022-06-03 15:04

2022年にもなると、ADSL接続もほぼ巻き取りが進み、固定回線と言えば光ファイバーしか選択肢がなくなり、光ファイバーすら使わずに 5G/LTE 回線を使ってインターネットへ接続しているというユーザも増えてきている。

NTT東西が提供するフレッツ光と、その OEM販売である各社のフレッツ光コラボがユーザ獲得合戦を繰り広げており、体力のある超大手に集約してきたイメージがある。

そんな中、老舗ISP のうちの一社、ODN と新たにインターネット接続契約を結んだのでその経緯をメモしておく。

コールセンターでオペレータに問い合わせる場合

コールセンターでオペレータに問い合わせたい場合は、0800-2228-375(通話料無料)に電話して、**(米印 2回)、1(各種手続き)、1(契約に関する問い合わせ)、9(オペレータとの通話を希望する)、で通話の待ち行列に入れる。番号は頻繁に変えてるようなので変わるかもしれない。以前は接続可能な時間が 10:00~18:00 だったが、最近、10:00~17:00 に変わったみたいだ。

昔も使ってた ODN

光ファイバーが普及する前、時代としては 1990年代の終わり頃、インターネットへ接続するのは電話回線を使うのが一般的だった。ISP が提供するアクセスポイントまで(モデムから)電話を掛け、PPP を使って認証して接続してもらう。ISP は定額のところもあったが、電話料金は使っただけ請求されるので、市内通話とはいえ 10円/3分の通話料はけっこうかさんでくるので繋ぎっぱなしは現実的ではなく、あらかじめ閲覧するウェブサイトはソフトを使ってリスト化しておき、ISP に接続したら一気にダウンロード。回線を切断してからゆっくり閲覧する、という使い方をしていた。

その後、ISDN回線で常時接続できるフレッツISDN が普及してきて 64kbps と速度は遅いものの 2022年現在のように好きなようにネットサーフィンできるようになり、その後、より高速な ADSL回線、そして光ファイバーへと速く安くなってきた。

加入電話(NTT のアナログ回線)や ISDN で接続していた頃、大手ISP と言えば、いまでも事業を続けているところは nifty、OCN、ODN、DION、BIGLOBE、So-net あたりだろうか。

nifty は最もユーザが多い ISP だったと記憶している。インターネット接続より前のパソコン通信の時代からのユーザがそのまま ISP契約も使っていて年配の人の利用率は高かった。料金も他社よりちょっと高かったような気がする。2022年現在は家電量販店のノジマの事業だが、当時は富士通の子会社だったので富士通のパソコンを買ったユーザがパソコンにプリインストールされた nifty接続ソフトを使ってサインアップ、そのまま使っているという人も居ただろう。

OCN は NTTコミュニケーションズ、ODN は日本テレコム(現ソフトバンク)、DION(現au one net) は DDI(現KDDI)のサービスだったので営業力があって、回線品質も良いイメージがあった(本業が回線屋なので)のでやはりユーザが多かった。

BIGLOBE は 2022年現在は KDDI のブランドになっているが、当時は NEC の傘下だったので、当時シェアの高かった NEC のパソコンを買ったユーザがパソコンにプリインストールされた BIGLOBE接続ソフトを使ってサインアップ、そのまま ISPユーザとなる感じだったのだろうか。BIGLOBE もパソコン通信時代の mesh から移行してきたユーザも居たと思う。

So-net は SONY系の ISP で、やはり当時人気があった SONY のパソコン、VAIO を買ったユーザが最初に検討する ISP の一社だった。

他にも朝日新聞系の ASAHIネット(パソコン通信は aston)、官公庁に強い IIJ、ダイヤルQ2 ISP の Bekkoame(現GMO)、Livedoor(ホリエモン移行の livedoor とは別の会社)なんてのもあった。(ダイヤルQ2系は電話代に上乗せして接続しただけ接続料を支払うだけなので事前の契約すら要らない)

私は IBM の PC(いまは Lenovo に移管したが)を買ったのでインターネットに接続しようと思い、当時評判のよかった ODN を契約した。その後、ADSL接続の名古屋めたりっく通信、Yahoo!BB ADSL(名古屋めたりっく通信の事業を継承)、その後は NTT西日本の Bフレッツ、フレッツ光プレミアム、そしてフレッツ光ネクストと回線が変わっている。

加入電話とフレッツISDN時代は ODN の ISP契約を使っていたものの、名古屋めたりっく通信は回線と ISP契約がセットだったのでその際に ODN の ISP契約は解約してしまい、約20年間、使っていなかった。

IIJ から乗り換え

Yahoo! BB ADSL から NTT西日本の Bフレッツに回線を変えたとき、新たに ISP契約が必要になり、少しだけ DION や OCN も使ってみたが回線が遅いなどの不満もあって、最終的に IIJ を使うことになった。回線側がフレッツ光プレミアム、フレッツ光ネクストと変わっても IIJ を使っていたが、IPv6 IPoE を使うには対応ブロードバンドルータが必要なこと(いま使っている NEC WG2600HP3 は非対応)、そもそも IPv6 IPoEサービス開始以前から IPv6 を使うために、IPv6 PPPoE契約になってる(これも NEC WG2600HP3 は非対応))こともあって、2,200円/月と他社と比べて割高な料金を支払っている割に満足に使えている気がしないので重い腰を上げて ISP を変更することにした。

候補

ISP の候補は何社かある。他の回線で使ってる JET INTERNET IPv6 IPoE(KDDI系VNE、JPNE の v6プラス回線の OEM)、DCNインターネット、Yahoo!BB フレッツ光コースなど。

JET INTERNET は JPNE の v6プラスが使えて快適だが、IPv6 IPoE契約は光コラボしか対応していないので、光コラボには変えたくないので却下。

DCNインターネットは IPv4 PPPoE を使う昔ながらの ISP で回線も速くて安定していて満足度が高いが、今回、ISP乗り換えに伴って使いたいと考えていた 050 IP電話のサービスが、楽天FUSION系と NTT Com系しかないので保留。(すでに楽天FUSION系と NTT Com系の 050 IP電話は他社で契約済み)

Yahoo!BB フレッツ光コースは、光BBユニットを使うことで IPv6 IPoE も IPv4 も IPv6高速ハイブリッドコースで使えて、050 IP電話の BBフォンも付属していることから候補の中では優位だったが、基本の ISP契約が 1,320円/月、それに加えて IPv6 IPoE + IPv4 over IPv6(IPv6高速ハイブリッドコース)と BBフォンを使うためにはオプションの光BBユニットのレンタルが必要でこれが別途513円/月ということで、コスト面からこれも一旦保留。

そして Yahoo!BB と同じソフトバンクの系列、旧日本テレコムが提供していた ODN がそのままサービスを継続しており、こちらが IPv4 PPPoE のみのサービスになるが ISP契約が 1,320円/月(24ヶ月は 550円/月)、これに 050IP電話の ODN IPフォンが無料でついてくる、Yahoo!BB と違って専用の光BBユニットを使わなくても、SIPアカウントが払い出されるので各種SIP電話機、SIPソフトフォン、自前の FXS ATAゲートウェイでも使うことができる。

平成の残り香が楽しめる ODN

2022年現在、各社ISP の客取り合戦であれこれ特典がある中で、あえて ODN を選ぼうという人はほぼ皆無だと思う。失礼ながら。

私のようになんらかの合理的な理由で、あえて ODN を選ぶ人も居るかもしれないがどちらかといえば昔からの継続でずっと使い続けているユーザがメインで、新規でサインアップする ISP の候補になるとは考えにくい。(それでも超がつく老舗ISP なのでユーザ数はそれなりに多いと思う)

ウェブサイト全体が 10年前で停まってしまっているような内容だが、25年以上前にサインアップしたときと違い、オンラインサインアップも用意されていてクレジットカード払いを選べばその場で即座に接続ID が払い出される。むかしは申込用紙を郵送で送るか、電話で申し込んで、後日、郵送で接続ID が送られてくるまでは使えなかった。

オンラインサインアップに必要事項を入力し、順調に進んでいったがクレジットカード情報を入れた直後の画面で、タイムアウトでエラーという表示が出てしまいサインアップが進められなくなった。

最初は Google Chrome を使っていたが、今度は Firefox でやってみたところ最後まで進め、無事接続ID が画面に表示された。(後日、郵送でも送られてくるが画面を印刷しておけばすぐに使える)

ちょっとわかりにくい電子メイル関係

老舗ISP なので接続ID を契約するだけで送受信に使える電子メイルアドレスも発行される。他社のようにウェブインタフェイスも用意されているが、自前の MUA(いわゆるメールソフト)を使って SMTP/POP3 経由で扱うこともできる。

使う予定はないものの、せっかくならと思い秀丸メールに設定してみることにした。ここからが若干わかりにくかったのが本記事を書こうと思ったキッカケだ。

これが申込み完了時に表示される各種設定情報の内容。ODN の接続ID は、abc12345 のフォーマットになっている。25年前に申し込んだときの ID は、ccy27000 だった。今回は、cmi51xxx だったのだが c は固定でインクル面とされているとしたらある程度ユーザ数も予測できるかもしれない。

この中のメール情報を使えば秀丸メールの設定なんかカンタンだろう、と考えたいがそういかなかったので忘備録として書いておく。

まず、ODN のメール関連ではユーザID としてメールアドレスを使わない。他社のサービスの場合、払い出されるメールアドレスが user@example.com なら、ユーザID も同じ user@example.com をそのまま使うところが多い。(Gmail など)

ODN ではメールID(=メインユーザの場合は接続ID)をそのまま使用する。

次に、2022年現在、SMTP/POP3 を使う場合、第三者に傍受されることを防ぐため、SMTP over SSL、POP3 over SSL を使うのが一般的だ。ODN の場合は古くからサービスを提供していることもあり、非SSL の SMTP(tcp 587ポート)、POP3(tcp 110ポート)も使うことができた。しかし時制もあって非SSL での接続は 2022年7月末で終了し、今後は over SSL での接続が必須となる。

秀丸メールはもちろん over SSL での接続に対応している。SMTP over SSL(tcp 465ポート)、POP3 over SSL(tcp 995ポート)を使うように設定するだけで良いはずだが、これで設定したところ、SSL証明書の検証エラーが出て接続できなかった。

どうも、over SSL接続を使う場合、SMTPサーバ名、POPサーバ名は、申込み完了時に表示されたホスト名ではなく、それぞれ smtpssl.odn.ne.jp、popssl.odn.ne.jp を使うらしい。

OpenSSL の s_client を使って証明書を確認したところ、

subject=C = JP, ST = Tokyo, L = Minato-ku, O = SoftBank Corp., OU = Service Platform Operations Department, CN = smtpssl.odn.ne.jp

issuer=C = JP, O = "Cybertrust Japan Co., Ltd.", CN = Cybertrust Japan SureServer CA G4
subject=C = JP, ST = Tokyo, L = Minato-ku, O = SoftBank Corp., OU = Service Platform Operations Department, CN = popssl.odn.ne.jp

issuer=C = JP, O = "Cybertrust Japan Co., Ltd.", CN = Cybertrust Japan SureServer CA G4

が返された。SNI になっていないようでホスト名の指定が必要なようだ。蛇足ながら、smtp03、pop29、smtpssl、popssl はすべて同じ IPアドレスが返されるので物理的にも同じホストマシンを使っているようで、それなら mail.odn.ne.jp などといった共通のホスト名を使って 1枚の SSL証明書にまとめてしまうといったことはやらないんだろうか?ユーザ数が多く、ホストマシンの能力が非力だった頃ならホスト名を分散させることでロードバランシングになっていたと思われるが、いまなら全ユーザを 1台のホスト(もしくはこちらから見えているのはロードバランサで、ウラでは複数台のホストへ分散しているのかもしれない)で処理できるのだから、それぞれホスト名を分ける意味がわからない。

秀丸メールでの設定方法

秀丸メールでの設定方法はこの通り。注意点は先にも述べたように、メールID はメールID であってメールアドレスではないこと。SMTPサーバ、POP3サーバは払い出された設定情報ではなく、smtpssl、popssl を使うこと。

Android の Gmailアプリでの設定方法

Android の Gmailアプリでは外部のサーバを使った電子メイルも取り扱いできるようになっている。

右上のアイコンをタップして、別のアカウントを追加をタップ。

その他をタップ。

ODN で設定したメールアドレスを入力。次へをタップ。

個人用(POP3) をタップ。

ODN から払い出されたメールパスワードを入力し、次へをタップ。

ユーザ名にデフォルトでメールアドレス入ってしまうので、ODN から払い出されたメールID に書き換える。

サーバーも popssl.odn.ne.jp に書き換える。

次へをタップ。

ログインが必要をチェックする。(デフォルトでチェック済みのはず)

ユーザ名にデフォルトでメールアドレス入ってしまうので、ODN から払い出されたメールID に書き換える。

サーバーも smtpssl.odn.ne.jp に書き換える。

次へをタップ。

お好きなように設定して、次へをタップ。

この名前欄は、電子メイルを送ったときに相手方に表示されるものなのでそれを考慮した上で設定して、次へをタップ。

これで ODN の電子メイルをスマホで送受信できるようになる。

ODN の申込みの控えが、電子メイルとして届いているはず。

以上で設定は完了。

ODN での接続を確認

SoftBankグループの中でも ODN は他のサービスと別の IPアドレス帯を確保しているようで、211.3.0.0/16 などが払い出された。

ASN Information for 211.3.75.93
ASN: 4725
Organization: ODN SoftBank Corp.
ASN IP Range: 211.3.0.0/16

(同じ SoftBank系の Yahoo!BB フレッツ光コースの IPv4 PPPoE だと 126.64.0.0/10 などが払い出される)

ASN Information for 126.100.241.238
ASN: 17676
Organization: GIGAINFRA SoftBank BB Corp.
ASN IP Range: 126.64.0.0/10

ODN IPフォンのアカウント払い出しは後日

ODN の ISP契約が終われば、無料で ODN IPフォンも使うことができるようになるが、ODN IPフォンを使用するには別途申し込みが必要になる。

以前であればチェックボックスを入れるだけで申し込めるようなサービスだったと思われるが、2022年現在、050 IP電話のアカウント払い出しに当たっては特殊詐欺で使われるケースが多いことから犯罪収益移転防止法で使用者の身元確認が求められ、ODN IPフォンの申込みも郵送かファックスで記名捺印した申込書を送付する必要がある。(他社では身分証の写しの提示が求められるが、いまのところ ODN からアクションはない。後日、提示が求められるかもしれない)

2022年6月15日追記:

6月3日に ODN IPフォンの申し込みのファックスを送ったところ、開通は月末になるとのこと。申込後むこうからなにも返事がないのでこちらから問い合わせたところ、ODN IPフォンのアカウントは委託先から払い出されるので、ODN ではなにもできない、というような回答だった。委託先?SoftBank のサービスではなくなってしまったのだろうか?

追記終わり。

2022年6月24日追記:

先日申し込んだ ODN IPフォン、6月17日に郵送で設定情報が届き、6月24日から課金開始と書かれていた。

設定がうまくいかず、24日まで接続していなかったが、たぶん 17日に設定情報が届いた時点で使えるようになっていたと思われる。

YAMAHA NVR510 を使ってアナログ電話機から使う方法などを紹介する。

追記終わり。


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