いろ電話研究所の研究日誌

ODN IPフォンを Poly VVX250 で使う

2022-07-25 14:17
画像

以前の記事で SoftBank系050IP電話サービスの ODN IPフォンを、YAMAHA NVR510 に接続したアナログ電話機から使う方法スマホアプリの Grandstream GS Wave で使う方法SIP電話機 Grandstream GXP1625 で使う方法SIP電話機 Grandstream GRP2613 で使う方法WiFi電話機 Grandstream WP820 で使う方法を紹介してきた。

今回もまた ODN IPフォン の設定情報を紹介する。

ODN IPフォンは SoftBank系IP電話基本料金無料SIP情報ありISPフリーとまさに 神サービス なので、あらゆる接続情報を全力でシェアしたい。

Poly VVX250 とは

Poly VVX250 は米国カリフォルニア州poly社が製造販売する汎用の SIP電話機で、日本ではあまりメジャーではないものの、米国では同社の製品がウォルマートでも販売されているなど、一定の知名度がある。

poly はかつては Polycom というブランド名で、日本でも出始めの頃(2000年代前半)のリモート会議用のスピーカーフォンなどで定番だったこともある。

画像

今回紹介する poly VVX250 は SIP 6回線(OBi版ファームウェアの場合)もしくは 34回線(UC版ファームウェアの場合)を収容できる SIP電話機で、新機種の poly Edge B シリーズの元になったとも言えるデザインで、ボタンの数や性能などはほぼ同じだ。poly Edge B30 に比べると液晶の解像度が高くてカラーになり、無線LAN で接続することもできる。

いまは poly のブランド名で売られているが、元は poly が買収した OBIHAI Technology が開発販売していた電話機で、初期のハードウェアでは昔のブランド、Polycom の銘板のものもある。

2バージョンのファームウェア

poly VVX250 をはじめ、VVXx50シリーズでは 2系統の機能の異なるファームウェアが存在する。一つが、Polycom UC Software でもう一つが、Polycom OBi Edition Softwareだ。以下本記事では、UC版、OBi版と呼ぶ。

画像
画像

2つのバージョンの見分け方は、バージョン情報を見たときに、6.4.3.5156 のようなリビジョンの最後が 4ケタの表記なら UC版、6.4.1.1 のようなリビジョンの表記なら OBi版がインストールされている。

本記事では、UC版ファームウェアをインストールした本体を使用する。

ODN IPフォンとは

再掲になるが、

ODN IPフォンは、ISP の ODN が同社のユーザ向けに提供している 050番号を使った IP電話サービスで、申込みが必要なものの基本料金はかからず利用できる。ODN の ISPアカウントは、NTT東西のフレッツ光ネクスト向けであれば 1,320円/月(税込み)(2年間は 1,100円/月(税込み))とライバル社と比べても比較的安価なので、ODN IPフォンを使うために現在使っている ISP からの乗り換えを検討してもよいと思う。ちなみに私は、ODN IPフォンを使いたいために ISP を 2,200円/月(税込み)の IIJ から ODN に乗り換えた。

ODN は元々、日本テレコムという JR系の電話会社の提供する ISPサービスだったが日本テレコムが SoftBank に買収されたため、現在は SoftBank の ISPサービスの一部になっている。

SoftBank は光コラボの SoftBank光、NTT東西フレッツ光ネクスト向けの ISPサービスである Yahoo!BB光、そして個人・法人向けのフレッツ光ネクスト向けの ISPサービスである ODN、法人向けのフレッツ光向けの ISPサービスである SpinNet と歴史的な理由もあって 4つの ISPブランドが併売されているが、Yahoo!BB光と ODN は似たようなサービス内容でどちらも 1,320円/月(税込み)なので、IPoE IPv6 が使いたい、BBフォンを使いたい(光BBユニットという独自の CPE をレンタル(レンタル料金が必要)する必要がある)場合は、Yahoo!BB光、ODN IPフォンを使いたい場合は ODN を選べば良い。

同じ SoftBankグループの SoftBank光や Yahoo!BB光では 050番号を使った IP電話サービスとして BBフォンを提供しているが、BBフォンを利用するには 513円/月(税込み)の光BBユニットのレンタルが必要で、さらにいわゆるナンバーディスプレイのようなサービスを使う場合は番号表示サービス 330円/月(税込み)のオプションが必要となり、基本料金は無料であるものの、実質、有料オプションと言ってもよい仕様になっている。

BBフォンと違って ODN IPフォンの場合は汎用の SIP規格を使うので、自前で用意した SIP電話機やスマホの SIPアプリを使うことができ、かつ契約には ODN の ISP契約が必要であるものの、ODN IPフォンの利用自体は他の回線からも可能なので、SoftBank系に通話料無料で ISPフリーで使える、というある意味隠れた名サービスと言える。

なお、通話料が相互に無料になる相手は、ODN IPフォン(電話番号050-20xx-xxxx が多い)、BBフォン(050-1xxx-xxxx)、Dialpad(050-1xxx-xxxx)だけだが、逆に掛けてもらう時は KDDI-IP電話や KDDI系の CATV系事業者(ケーブルプラス電話)からも通話料無料になる。

というサービスで設定情報は郵送で送られてくる。

ODN IPフォンの設定情報

こちらも再掲になるが、ODN から送られてくる ODN IPフォンの設定情報がこちら。

画像

必要なのは SIPサーバ名、IP電話番号、IP電話パスワードの 3点のみ。ほかは不要。

Poly VVX250 の設定

画像

本体で ホーム6 設定4 ステータス2 ネットワーク1 TCP/IPパラメータ で表示される IPv4アドレスにブラウザからアクセスするると管理画面が表示される。

画像

Adminユーザのデフォルトパスワードは 456 なのでログインしてから複雑なものに変更しておく。

画像

設定回線 へ進む。

画像

表示名は電話機内での識別用なので、自分でわかりやすいように ODN IP など、任意の文字列などを入れる。アドレスは設定情報の SIP電話番号 を入れる。

認証のドメインの欄に blu.odn.ne.jp(設定情報の SIPサーバ名)、ユーザID に SIP電話番号、パスワードに SIP電話パスワード を入力する。

発信プロキシのアドレスの欄に blu.odn.ne.jp(SIPサーバ名)を入力する。

サーバ1 のアドレスに blu.odn.ne.jp(SIPサーバ名)、ポートに 5060、登録を はい にして 保存 をクリック。

STUN の有効化

ODN IPフォンの仕様で、LAN内で使っているプライベートIPv4アドレスのままでは SIP REGISTER できないので、回線に割り当てられたグローバルIPv4アドレスと発信元ポートを検知する必要がある。NTT東西からレンタルできる VoIPアダプタでは UPnP を使っているが、Poly VVX250 は UPnP に非対応なので代わりに STUN を使用する。

STUN関係の設定は電話機本体だけで行えないので、以下のような XML ファイルを作成して、インポートする。

画像

feature.nat.stun.enabled="1" で STUN を使用するフラグを立てる。nat.stun.portnat.stun.server で STUNサーバの情報を設定する。ここでは Google の公開STUNサーバである、stun.l.google.com:19302 を設定してある。reg.1.nat.traversal.mode="Stun" で回線1 に紐づけて、NATトラバーサルに STUN を使うように指定している。

画像

ユーティリティ設定のインポートとエクスポート からいま作成した XMLファイルをインポートする。

コーデックの設定

ODN IPフォンではコーデックとして ITU-T G.711μ(PCMU) を使うのでコーデックを設定する。

画像

設定音声コーデックの優先順位 で使用中に G.711Mu を一番上に持ってくるようにする。

画像

発信する

画像

Poly VVX250 から携帯電話に向けて発信。

画像

すこし見づらいが、ODN IPフォンの電話番号(050-2008-11xx)から掛かってきていることがわかる。

着信する

画像

スマホの Lala Callアプリから ODN IPフォンの電話番号宛に発信。

Lala Call の番号(050-7xxx-2500)から掛かってきていることがわかる。

まとめ

本記事を執筆するにあたり、Poly VVX250 の 2つのファームウェア、UC版と OBi版のそれぞれで設定を行ってみた。

UC版については記事で紹介した通り、STUN の設定が少し煩雑なことを除けば、ほとんど基本的な SIP 回線の設定を行うだけで通話できるようになった。

一方で、OBi版については、設定画面上で STUN の設定ができるようになっているものの、動作を確認しても STUN を使っておらず(パケットキャプチャしても、電話機から STUNサーバへのリクエストパケットすら飛んでいない)、STUN が使えないと ODN IPフォンの SIPサーバはレスポンスを返さないため、接続できなかった。OBi版のファームウェアと似たような構成の Poly Edge B30 ver. 1.0.2 でも同様の挙動になっており、現在、Poly のサポートに問い合わせ中なので、回答があれば再度チャレンジして設定情報を共有したいと思う。

類似の記事

ODN IP 050 plus イオン050 ひかり電話 SMARTalk ippi その他
GS Wave アプリ note 050 plus イオン050 執筆予定 執筆予定 ippi TELNYX
MizuDroid アプリ ODN IP 050 plus イオン050 執筆予定 SMARTalk
MicroSIP PCソフト ODN IP 050 plus 執筆予定 執筆予定 ippi TELNYX
YAMAHA
NVR510
FXS ATA ODN IP 設定不可※1 設定不可※1 ひかり電話 SMARTalk
GS HT802 FXS ATA ODN IP 050 plus イオン050 ひかり電話
GS GXP1625 SIP電話機 note 050 plus 執筆予定 ひかり電話
IPv6
SMARTalk ippi
GS GRP2613 SIP電話機 note イオン050
GS WP820 Wi-Fi電話機 note 050 plus イオン050
Poly
Edge B30
SIP電話機 執筆中 050 plus イオン050 ひかり電話
Poly
VVX250
SIP電話機 ODN IP 050 plus 執筆予定 ひかり電話 SMARTalk ippi
その他 Acrobits
Softphone


Sipnetic

Calls
Acrobits
Softphone


Sipnetic
(設定不可※2)
Sipnetic

Acrobits
Softphone

※1 : TLS が使えない。ポート番号を 5060以外に変えられない。SRTP が使えない。G.729aコーデックが使えない。
※2 : G.729aコーデックが使えない。


COPYRIGHT (C) いろ電話研究所
This HTML file generated by pug.