この記事では、ODN IPフォンの 050番号を、YAMAHA のアナログ電話機を SIP電話機として使える機能を持った定番の家庭用ルータ、NVR510 で設定して発着信に使うための設定を紹介する。
ODN IPフォンは、ISP の ODN が同社のユーザ向けに提供している 050番号を使った IP電話サービスで、申込みが必要なものの基本料金はかからず利用できる。ODN の ISPアカウントは、NTT東西のフレッツ光ネクスト向けであれば
1,320円/月(税込み)(2年間は 1,100円/月(税込み))とライバル社と比べても比較的安価なので、ODN IPフォンを使うために現在使っている ISP からの乗り換えを検討してもよいと思う。ちなみに私は、ODN IPフォンを使いたいために ISP を 2,200円/月(税込み)の IIJ から ODN に乗り換えた。
ODN は元々、日本テレコムという JR系の電話会社の提供する ISPサービスだったが日本テレコムが SoftBank に買収されたため、現在は SoftBank の ISPサービスの一部になっている。
SoftBank は光コラボの SoftBank光、NTT東西フレッツ光ネクスト向けの ISPサービスである Yahoo!BB光、そして個人・法人向けのフレッツ光ネクスト向けの ISPサービスである ODN、法人向けのフレッツ光向けの ISPサービスである SpinNet と歴史的な理由もあって 4つの ISPブランドが併売されているが、Yahoo!BB光と ODN は似たようなサービス内容でどちらも 1,320円/月(税込み)なので、IPoE IPv6 が使いたい、BBフォンを使いたい(光BBユニットという独自の CPE をレンタル(レンタル料金が必要)する必要がある)場合は、Yahoo!BB光、ODN IPフォンを使いたい場合は ODN を選べば良い。
同じ SoftBankグループの SoftBank光や Yahoo!BB光では 050番号を使った IP電話サービスとして BBフォンを提供しているが、BBフォンを利用するには 513円/月(税込み)の光BBユニットのレンタルが必要で、さらにいわゆるナンバーディスプレイのようなサービスを使う場合は番号表示サービス 330円/月(税込み)のオプションが必要となり、基本料金は無料であるものの、実質、有料オプションと言ってもよい仕様になっている。
BBフォンと違って ODN IPフォンの場合は汎用の SIP規格を使うので、自前で用意した SIP電話機やスマホの SIPアプリを使うことができ、かつ契約には ODN の ISP契約が必要であるものの、ODN IPフォンの利用自体は他の回線からも可能なので、SoftBank系に通話料無料で ISPフリーで使える、というある意味隠れた名サービスと言える。
なお、通話料が相互に無料になる相手は、ODN IPフォン(電話番号050-20xx-xxxx が多い)、BBフォン(050-1xxx-xxxx)、Dialpad(050-1xxx-xxxx)だけだが、逆に掛けてもらう時は KDDI-IP電話や KDDI系の CATV系事業者(ケーブルプラス電話)からも通話料無料になる。
ODN IPフォンに申し込むと、設定情報が郵送で送られてくる。私は 2022年6月3日にファックスで申込書を送ったところ、6月17日に設定情報が届いた。ODNサポートセンター(0800-2228-325)に聞いたところ設定情報は郵送のみで、電子メイルなどのほうほうでは送付できない、とのことだった。
いろいろな情報が書かれているが必要になるのは、SIPサーバ名(SIP Server)、SIP電話番号(IP-Phone ID)、IP電話パスワードの 3点のみ。
User ID や SIP-URL(URI の間違い?) は SIP電話を使用するための設定に不要なので記載しないで欲しい。
一見、User ID が SIP Auth Name に相当するのかと思ってあれこれ設定してみがうまくいかず、試しに SIP電話番号を Username兼Auth Name として設定してみたところ、動作した。
YAMAHA NVR510 の GUI設定画面にアクセスし、かんたん設定、IP電話、SIPサーバ接続 に進む。
新規登録の 新規 ボタンをクリックする。
タイプA SIPサーバーを選択し、次へをクリック。
VoIPサーバーとサービスドメインに、blu.odn.ne.jp (SIPサーバ名)と入力。
VoIPユーザID と VoIP電話番号は、IP電話番号を入力。
VoIPユーザパスワードは IP電話パスワードを入力する。
意味としては、VoIPサーバーは SIP REGISTER する際に接続するサーバで、他のアプリで言う SIP Server や SIP Outbound Proxy Server などで書かれている項目に相当する。
サービスドメインは SIP URI の @ の右側のところで、ほとんどのサービスでは SIP Server と同じになる。ODN IPフォンの場合は全ユーザ共通で、blu.odn.ne.jp を使っていると思われる。
VoIPユーザID は SIP Authentication で使う username に相当する項目(SIP Auth Name)で独自の ID を使うサービスもあるが、後述の SIP Username と同じものを使うサービスが多い。ODN IPフォンの場合も、SIP Username と同じになる。(ここは設定情報に書かれていたユーザID を使うのかと思って悩んだ)
VoIP電話番号は、SIP URI の @ の左側のところで、050系IP電話だと電話番号、電話番号から 050 を除いたもの(Fusion系)、電話番号を加工したもの(NTT Com系)などがあるが、ODN IPフォンの場合は素直に電話番号を 11ケタすべて書く。
次へをクリック。
プレフィックスを設定すると、いま設定した ODN IPフォンを使って発信するかを指定できる。2# を指定したので、アナログ電話機から 2#050xxxxxxxx と発信することで、この設定を使って外線発信する。プレフィックスなし、にするとデフォルトの発信設定になる。
次へをクリック。
内容を確認して、設定を確定をクリック。
接続するをクリックする。
これで ODN IPフォンに接続できた。
GUI から設定する場合、識別番号を任意に設定できないなどの制約があるので、これらを設定したい場合はコマンドで config する。
むしろ、コマンドなら 3行の設定で終わるので、むしろカンタンだと思う。
sip server 4002 blu.odn.ne.jp register udp sip:(IP電話番号)@blu.odn.ne.jp (IP電話番号) (IP電話パスワード) name=ODN_IP
analog extension dial prefix port=1 sip server=4002 prefix="2#"
analog sip arrive myaddress 1 4002 sip:(IP電話番号)
これで設定完了。
実際に設定した様子。
見づらくて申し訳ないが、NVR510 に接続したアナログ電話機から携帯電話に発信したときの様子。
ODN IPフォンの電話番号、050-2008-11xx から掛かってきていることがわかる。もちろん通話も可能。
遅延はほとんど感じられず、音質も良い。
ちなみにこの記事を書くときに使った回線は、Yahoo!BB光フレッツコースの PPPoE接続を使っている。グループ会社ではあるものの ODN の回線ではない回線から ODN IPフォンは問題なく使えた。
検証のため、KDDI系IPoE回線でも設定してみたが、そちらも問題なく疎通したので、回線に関しては ISPフリーで設計されていると考えて良い。
BBフォンが独自規格かつ 513円/月(税込み)の光BBユニットのレンタルが必要なため、050系IP電話として使うには使いづらいと考えていたが、同じ SoftBank系でかつ汎用SIP を使えるということで、ODN IPフォンはかなりおすすめの IP電話サービスと言える。
SoftBank系IP電話、基本料金無料、SIP情報あり、ISPフリーと、まさに神サービスと言える。
強いて言えば、ウェブから申し込めて即日で SIP ID を払い出し、できれば電子メイルなどでも設定情報を送って欲しい。
次回は スマホの SIP電話アプリ、Grandstream GS Wave で ODN IPフォンを使う設定方法を紹介 する。
ODN IP | 050 plus | イオン050 | ひかり電話 | SMARTalk | ippi | その他 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
GS Wave | アプリ | note | 050 plus | イオン050 | 執筆予定 | 執筆予定 | ippi | TELNYX |
MizuDroid | アプリ | ODN IP | 050 plus | イオン050 | 執筆予定 | SMARTalk | ||
MicroSIP | PCソフト | ODN IP | 050 plus | 執筆予定 | 執筆予定 | ippi | TELNYX | |
YAMAHA NVR510 |
FXS ATA | ODN IP | 設定不可※1 | 設定不可※1 | ひかり電話 | SMARTalk | ||
GS HT802 | FXS ATA | ODN IP | 050 plus | イオン050 | ひかり電話 | |||
GS GXP1625 | SIP電話機 | note | 050 plus | 執筆予定 | ひかり電話 IPv6 |
SMARTalk | ippi | |
GS GRP2613 | SIP電話機 | note | イオン050 | |||||
GS WP820 | Wi-Fi電話機 | note | 050 plus | イオン050 | ||||
Poly Edge B30 |
SIP電話機 | 執筆中 | 050 plus | イオン050 | ひかり電話 | |||
Poly VVX250 |
SIP電話機 | ODN IP | 050 plus | 執筆予定 | ひかり電話 | SMARTalk | ippi | |
その他 | Acrobits Softphone Sipnetic Calls |
Acrobits Softphone Sipnetic (設定不可※2) |
Sipnetic Acrobits Softphone |
※1 : TLS が使えない。ポート番号を 5060以外に変えられない。SRTP が使えない。G.729aコーデックが使えない。
※2 : G.729aコーデックが使えない。