いろ電話研究所の研究日誌

050 plus を Grandstream GS Wave で使う

2022-08-16 11:36
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この記事では、SIP電話アプリ、Grandstream GS Wave で 050 plus を使う方法を紹介する。

050 plus は NTTレゾナント(2022年7月に NTTコミュニケーションズからサービス移管)が提供する 050 IP電話サービスで、少し特殊な設定が必要なものの、標準的な仕様の SIP が使える電話機から使うことができる。

Grandstream GS Wave とは

Grandstream GS Wave は米国ボストンGrandstream社が開発しているスマホ用SIPフォンアプリで無料で使用できる。設定できる項目が多いが設定がわかりやすく、挙動も素直なので、ほとんどの SIPプロバイダーに対応できる。(他のアプリだと相性によって設定できない IP電話プロバイダがある)

なお GS Wave はアプリストアでは Grandstream Wave Lite - Video という名前になっていて紛らわしい上、似たような名前の違うアプリもあるので注意する。

050 plus の SIP情報

こちらも再掲となるが、curl コマンドで取得することができる。面倒であれば、ブラウザから 050 plus の SIP情報を取得できる HTML を公開している人がいるので、それを使用する。

curlコマンドは、

% curl \
-X POST \
--header "User-Agent: hoge" \
--data 'ifVer=7.0&apVer=2.0.4&buildOS=IOS&buildVer=5.1&buildModel=Android&earlyStFlg=0&no050=(050電話番号)&pw050=(パスワード)' \
https://start.050plus.com/sFMCWeb/other/InitSet.aspx \
>050plus-0503690xxxx.xml

このコマンドを実行するとアカウント情報が、050plus-0503690xxxx.xml に保存される。

xmllintコマンドで中身を見ると、

% xmllint --format 050plus-0503690xxxx.xml
<?xml version="1.0"?>
<replyInfo>
 <resultInfo>
   <resCd>N0000</resCd>
   <resMsg>正常に終了しました</resMsg>
   <errCd/>
 </resultInfo>
 <resultEarlySt>
   <sipID>ThisIsSIPID</sipID>
   <sipPwd>ThisIsSIPPassword</sipPwd>
   <tranGwInfo>
     <tranGwAd>kar-f2fcp.050plus.com</tranGwAd>
     <payTranGwPNm>443</payTranGwPNm>
     <freeTranGwPNm>5075</freeTranGwPNm>
     <nicNm>fmc3690xxxx</nicNm>
     <pingTm>600</pingTm>
     <pongTm>120</pongTm>
   </tranGwInfo>
   <ticketInfo>
     <ticketEx/>
   </ticketInfo>
   <chargPlan>02</chargPlan>
   <frdCd>301TSQ49</frdCd>
   <rNo050>0503690xxxx</rNo050>
   <rDistingId>xxxxxxxxx</rDistingId>
 </resultEarlySt>
</replyInfo>

必要な情報は、transGwAdpayTransGwPNm(SIP REGISTER する際の SIPサーバ、並びに SIP Proxyサーバ、ポート番号)、nicNm(SIP Username)、sipID(SIP Auth Name)、sipPwd(SIP Password)なのでこれをメモする。

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nicNm は、fmc + (電話番号から先頭の 050 を除いたもの)になっているはずだ。sipID と sipPwd は英数字のランダムな文字列が使われている。

Grandstream GS Wave の設定

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以前の記事で ODN IPフォンなどを設定しているので、アカウントを追加するため、Settings、Account Settings へ進み、右上の + をタップする。

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SIP Account をタップ。

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Account Name はアプリ上での識別用なのでなんでもよい。(ここでは 050 plus とした)

SIP Server に 050plus.com(イオンモバイルの場合は 050sdk.com)、SIP User ID に SIP情報で取得した nicNm を、SIP Authentication ID に sipID を、Password に sipPwd を入力する。

右上の をタップ。

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ここまでの設定だけでは SIP REGISTER できないため、Active にならない。再度、いま設定したアカウントをタップする。

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SIP SETTINGS の SIP Port を他人に推測されない大きめのランダムな数字にする。(ここでは 25070 とした)

Transmission Protocol を TLS にする。

Register Expiration (m) に 10 と入力する。

Only Accept SIP Requests from Known Servers、Check SIP User ID for Incoming INVITE、Enable 100rel を有効にする。

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NETWORK SETTINGS の Outbound Proxy に kar-f2fcp.050plus.com:443 と入力する。

端末の 戻るボタンをタップして戻れば設定が反映されている。

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SIP REGISTER できているので Active になる。

コーデックの設定

050 plus ではコーデックとして ITU-T G.729A しか使えないので、コーデックを設定する。

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Settings、Account Settings、いま設定したアカウントをタップ。

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CODEC SETTINGS の Preferred Vocoder をタップ。

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WiFi をタップ。

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G729 だけチェックを入れた状態にして、右上の をタップ。

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2G/3G/4G をタップ。

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G729 だけチェックを入れた状態にして、右上の をタップ。

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SRTP Mode を Enabled And Force にする。

端末の 戻るボタンをタップして戻れば設定が反映されている。

これで発着信して通話できる状態になっている。

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050 plus から発信する

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GS Wave はマルチアカウントになっているので、まずは発信に使うアカウントを選択する。

左上の人間の上半身のようなアイコンをタップする。

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さきほど作成したアカウントをタップする。右上の上半身アイコンを再度タップする。

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poly Edge B30 に設定した ODN IPフォン の番号に発信する。

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すこし見づらいが、050 plus の電話番号(050-3690-xxxx)から掛かってきていることがわかる。

050 plus で着信する

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逆に poly Edge B30 に収容した ODN IPフォンから 050 plus の番号宛に発信。

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着信は非常にスムースに取れる。

遅延はほとんどないが、コーデックに ITU-T G.729A を使っているので音質は一昔前の国際電話並に悪い。

まとめ

GS Wave は各種ある SIP電話アプリの中でも、圧倒的に使いやすくオススメしたい。GS Wave を敬遠する人の中には、インタフェイスが英語しか無い点を気にしているのかもしれないが、基本的に電話アプリは設定さえやってしまえば通常に使う分には英語表記のままでなんら不都合はないはずだ。

050 plus は月額330円(税込み)でプロバイダフリーに使える SIPアカウントを払い出してくれる数少ないサービスではあるものの、SIP の標準的な設定(UDP/IP 5060ポート、非SRTP、PCMUコーデックで使う)が使えないことで、少し敷居は高いものの、一度設定してしまえば安定して使えるのでとてもオススメのサービスだ。

コツとしては、SIP URI が nicNm @ 050plus.com になる、認証の SIP Domain が 050plus.com、SIP AuthName が sipID、SIP AuthPassword が sipPwd になる、Outbound Proxyサーバとして kar-f2fcp.050plus.com:443(transGwAd : payTransGwPNm)を使う、コーデックとして G.729A を使う、といった要点さえ抑えておくと良い。特に着信はするのに発信できないといったトラブルが出ているときは、コーデックの設定が間違っていることが考えられるので(PCMU などを提案してしまっている)、今一度、設定が上記の組み合わせになっているか、見直してみること。

イオンモバイルで提供される話し放題の 050 IP電話オプションも中身としては 050 plus の OEM版(050 SDK)なのでほぼ同じ設定で動くはずだ。イオンモバイルで使う場合は SIP URI が nicNm @ 050sdk.com、認証の SIP Domain が 050sdk.com、Outbound Proxyサーバが kar2-f2fcp.050sdk.com:443 と読み替えて設定して欲しい。

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※1 : TLS が使えない。ポート番号を 5060以外に変えられない。SRTP が使えない。G.729aコーデックが使えない。
※2 : G.729aコーデックが使えない。


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