いろ電話研究所の研究日誌

ippi を Poly VVX250 で使う

2022-07-28 11:34
画像

無料で SIP URI を発行してくれるプロバイダー、ippi を SIP電話機の Poly VVX250 で使う方法を紹介する。

Poly VVX250 はいわゆる電話機なので、ボタンしか操作する手段がない。

しかし、SIP URI は英数字、記号(@、.)を使っているので通話するときにボタン操作だけでは呼び出しが困難だ。そこで Poly VVX250 の連絡先機能を使って宛先の SIP URI を登録して、それを使って通話する。

Poly VVX250 とは

Poly VVX250 は米国カリフォルニア州poly社が製造販売する汎用の SIP電話機で、日本ではあまりメジャーではないものの、米国では同社の製品がウォルマートでも販売されているなど、一定の知名度がある。

poly はかつては Polycom というブランド名で、日本でも出始めの頃(2000年代前半)のリモート会議用のスピーカーフォンなどで定番だったこともある。

画像

今回紹介する poly VVX250 は SIP 6回線(OBi版ファームウェアの場合)もしくは 34回線(UC版ファームウェアの場合)を収容できる SIP電話機で、新機種の poly Edge B シリーズの元になったとも言えるデザインで、ボタンの数や性能などはほぼ同じだ。poly Edge B30 に比べると液晶の解像度が高くてカラーになり、無線LAN で接続することもできる。

いまは poly のブランド名で売られているが、元は poly が買収した OBIHAI Technology が開発販売していた電話機で、初期のハードウェアでは昔のブランド、Polycom の銘板のものもある。

2バージョンのファームウェア

poly VVX250 をはじめ、VVXx50シリーズでは 2系統の機能の異なるファームウェアが存在する。一つが、Polycom UC Software でもう一つが、Polycom OBi Edition Softwareだ。以下本記事では、UC版、OBi版と呼ぶ。

画像
画像

2つのバージョンの見分け方は、バージョン情報を見たときに、6.4.3.5156 のようなリビジョンの最後が 4ケタの表記なら UC版、6.4.1.1 のようなリビジョンの表記なら OBi版がインストールされている。

本記事では、UC版ファームウェアをインストールした本体を使用する。

ippi とは

再掲になるが、

ippi という SIPプロバイダーは 2007年にフランス、パリで創業した企業、Worldline Communication SAS社の事業でメインの事業としては月額固定の DID SIPアカウントの払い出しを行っている。

有料プランへのステップアップを狙ったユーザ獲得の入り口として無料プランを用意しており、SIP URI の発行と SIP URI を使った VoIP to VoIPコールのみ、無料で使えるようになっている。電話番号を使った外部の PSTN との通話には、月額9.99~29.99€ の有料プランにアップグレードする必要がある。

というサービスでカンタンにサインアップできるのでアカウント(と、SIP URI)を取得しておく。

Poly VVX250 の設定

画像

本体で ホーム6 設定4 ステータス2 ネットワーク1 TCP/IPパラメータ で表示される IPv4アドレスにブラウザからアクセスするると管理画面が表示される。

画像

Adminユーザのデフォルトパスワードは 456 なのでログインしてから複雑なものに変更しておく。

画像

設定回線 へ進む。

画像

表示名は電話機内での識別用なので、自分でわかりやすいように ippi など、任意の文字列などを入れる。アドレスは ippi の USERNAME を入れる。

認証のドメインの欄に sip.ippi.com、ユーザID に ippi の USERNAME、パスワードに ippi のパスワード を入力する。

発信プロキシのアドレスの欄に sip.ippi.com、ポートに 5060 を入力、Transport を UDPOnly にする。

サーバ1 のアドレスに sip.ippi.com、ポートに 5060 を入力、Transport を UDPOnly、登録を はい にして 保存 をクリック。

ちなみに、サーバ1 のアドレスに sip.ippi.com、ポートに 5061 を入力、Transport を TLS を設定することもできたが、着信時にこちらが切断しても、発信側が切断されない挙動が起きたので推奨しない。

コーデックの設定

ippi ではコーデックとして Opus や ITU-T G.711μ(PCMU) が使えるコーデックを設定する。

画像

設定音声コーデックの優先順位 で使用中に OpusG.711Mu を追加する。

画像

ippi Dashboard から SIP REGISTER されている様子が確認できる。

画像

連絡先に登録する

Poly VVX250 は XMLファイルを使った連絡先(Directory)機能があるが、プロビジョニングサーバからダウンロードする必要がある。この Poly VVX250 は、プロビジョニングサーバとしてクラウドサービスの POLY LENS を使っているが、POLY LENS には Directory の提供機能がないので、今回は電話機本体を操作して、直接登録する。

画像
画像

ホームボタン4 連絡先リスト1 連絡先リスト へ進む。

画像
画像

追加 へ進む。

連絡先 へスクロールし、モードURL に切り替える。

画像

文字の入力方法は携帯電話やスマホと同じだが、先頭が数字になっているのと、すぐに入力確定してしまって慣れないと入れづらいが、通話先の SIP URI を入力する。

.(ドット)や @*キー で入力できる。

入力したら 保存ボタンを押す。

画像

これで連絡先リストへの登録は完了。呼出ボタンから通話を開始できる。

発信する

画像

Poly VVX250 から OnSIP の SIP URI に向けて発信。

画像

ippi の SIP URI から掛かってきている。

コーデックで Opus をオファーし、着信側の OnSIP でも Opus に対応した Grandstream GS Wave を使っているので、両者は Opus を使って通話できる。非常に音質も良い。

着信する

画像

スマホの GS Wave に収容した OnSIP の SIPアカウントから、ippi の SIP URI宛に発信。

OnSIP の SIP URI から掛かってきている。

画像

通話中。こちらももちろん Opus を使っていてとても音質が良い。

まとめ

SIP URIプロバイダーの ippi は無料ながら、サインアップはカンタン、設定は素直、NAT超えの特殊な仕掛けも要らないということで、無料SIP URIプロバイダーの中では圧倒的にオススメ度が高い。

今回は、外部SIP URI の OnSIP宛に通話するため、連絡先リストの機能を使っての通話を紹介したが、ippi のアカウントの場合、各ユーザの SIP URI(ADDRESS)の他にエイリアスとして 889 から始まる 9ケタの数字だけの SIP URI(NUMERIC)も発行されるので、ippi のアカウント同士の通話であればふつうの電話機のように番号をプッシュするだけでも通話できる。

類似の記事

ODN IP 050 plus イオン050 ひかり電話 SMARTalk ippi その他
GS Wave アプリ note 050 plus イオン050 執筆予定 執筆予定 ippi TELNYX
MizuDroid アプリ ODN IP 050 plus イオン050 執筆予定 SMARTalk
MicroSIP PCソフト ODN IP 050 plus 執筆予定 執筆予定 ippi TELNYX
YAMAHA
NVR510
FXS ATA ODN IP 設定不可※1 設定不可※1 ひかり電話 SMARTalk
GS HT802 FXS ATA ODN IP 050 plus イオン050 ひかり電話
GS GXP1625 SIP電話機 note 050 plus 執筆予定 ひかり電話
IPv6
SMARTalk ippi
GS GRP2613 SIP電話機 note イオン050
GS WP820 Wi-Fi電話機 note 050 plus イオン050
Poly
Edge B30
SIP電話機 執筆中 050 plus イオン050 ひかり電話
Poly
VVX250
SIP電話機 ODN IP 050 plus 執筆予定 ひかり電話 SMARTalk ippi
その他 Acrobits
Softphone


Sipnetic

Calls
Acrobits
Softphone


Sipnetic
(設定不可※2)
Sipnetic

Acrobits
Softphone

※1 : TLS が使えない。ポート番号を 5060以外に変えられない。SRTP が使えない。G.729aコーデックが使えない。
※2 : G.729aコーデックが使えない。


COPYRIGHT (C) いろ電話研究所
This HTML file generated by pug.