イオンモバイル のオプションサービス、050かけ放題 をアナログ固定電話機で使えるようにする、Grandstream HT802 に設定して使用する方法を紹介する。
イオンモバイルの 050かけ放題は、050 plus の NTTレゾナント(2022年7月に NTTコミュニケーションズからサービス移管)が提供する 050 IP電話サービス、050 plus の OEM版(050 VoIP SDK)を使っており、少し特殊な設定が必要なものの、標準的な仕様の SIP が使える電話機から使うことができる。
一般家庭で使ういわゆるアナログ電話機も、この記事で紹介する FXS ATAゲートウェイという機器を使うことで、IP電話回線で使うことができる。今回紹介するイオンモバイル050かけ放題は仕様の制約でファックスは使えない。
SIP用の回線をアナログ電話機で使うための変換を担ってくれるのが、FXS ATAゲートウェイという機械だ。
今回紹介する HT802 は、米国Grandstream社のベストセラーで、2回線分の FXS ATAゲートウェイとして使うことができる。1回線だけ収容できる兄弟機、HT801 もあって設定はほぼ同じなのでどちらでも同じように使える。(HT802 なら同じ場所で 2台が使える)
2022年9月現在は新機種である HT812 も販売されているが、こちらも設定などはほぼ同じように使うことができる。
アナログ電話機の場合は物理的に配線が要るので電話線でつながったところにしか電話機を設置できないが、SIPプロバイダ + FXS ATAゲートウェイの構成なら、IP部は Wi-Fi なども使えるので使い方次第では便利な子機が設定できることになる。
050 plus では SIP情報をちょっとしたウラワザで取得する必要があったが、イオンモバイルの 050かけ放題の場合は、契約時に渡される イオンモバイル通信サービスお申し込み完了通知書 に SIP情報(の一部)が記載されている。
050電話番号、ユーザID、パスワードが書かれている。050 plus の nicNm に相当するのは、fmc + (050電話番号から先頭の 050 を除いたもの)、sipID がユーザID、sipPwd がパスワードになる。
ここに記載がないが、SIP Domain は 050sdk.com、SIP Outbound Proxy は kar2-f2fcp.050sdk.com:443 が使われている。
TEL 1ポートにアナログ電話機を接続し、回線種別をプッシュにセット。オンフックして、***、02 とダイヤルすると IPアドレスを読み上げられる。
英語なので聞き取りづらいと思うが、内容は アイピーアドレス、アイ、ピー、ヴィー、フォー に続いて数字を読み上げていく。今回はワン、セブン、ツー、ドット、、、スリー、ゼロ、ドット、、、ワン、ツー、エイト、ドット、、、スリー、ナインだったので 172.30.128.39 とわかる。
ブラウザから、IPアドレスにアクセスする。管理画面が開かない場合は、IPアドレスを聞き取り間違えてると思うので、聞き直す。
デフォルトで Username、Password とも admin なのでログインしてパスワードを複雑なものに変更しておく。
ログイン直後の画面。なおファームウェアは執筆時点で最新版の、1.0.41.2 で動作を確認している。
FXS PORT 1 タブを選択する。(今回は、FXS PORT 1 を別の用途に使っているので、FXS PORT 2 を使う)
Account Active を Yes にする。
Primary SIP Server に 050sdk.com と入力する。
Outbound Proxy に kar2-f2fcp.050sdk.com:443 と入力する。
SIP Transport を TLS にする。
SIP URI Scheme When Using TLS を sip にする。
NAT Traversal を Keep-Alive にする。
SIP User ID に SIP情報の fmc + 050電話番号の下8ケタ、Authenticate ID に ユーザID、Authenticate Password に パスワード を入力する。
SIP Registration を Yes にする。
Register Expiration に 10 と入力する。
Enable SIP OPTIONS/NOTIFY Keep Alive を OPTIONS にする。
SIP OPTIONS/NOTIFY Keep Alive Interval に 30 と入力する。
Local SIP Port に、ランダムな大きめ(20,000~65,500)の数字を入力する。
Check SIP User ID for incoming INVITE を Yes にする。
Authenticate incoming INVITE を No にする。
Allow Incoming SIP Messages を Yes にする。
Disable Call-Waiting と Disable Call-Waiting Caller ID は Yes にする。
Call-Waiting とは NTT東西で言うところのキャッチホンのサービスのこと。
このあたりはほぼデフォルトのまま。
非通知を着信拒否する場合は、Anonymous Call Rejection を Yes にする。
Preferred Vocoder をすべて G729 にする。
Jitter Buffer Type を Adaptive にする。
Jitter Buffer Length を Low にする。
SLIC Setting を JAPAN CO にする。これは回線種別。
Caller ID Scheme を NTT Japan にする。これは NTT東西で言うところのナンバーディスプレイ。
このあたりはほぼデフォルトのまま。
Applyボタンをクリックする。
STATUS を見ると、FXS 2 が Registered になっているのが確認できる。。
イオンモバイルの SIM契約のオプションで加入できる、050かけ放題は仕組みとしては OCN(NTTレゾナント)の 050 plus とほぼ同じもの(050 VoIP SDK)を使っているので、設定などもほとんど同じで動作する。
設定での違いとしては、SIP Oubtound Proxy が、050 plus では kar-f2fcp.050plus.com:443 を使っているところが、050 VoIP SDK では kar2-f2fcp.050sdk.com:443 (kar ではなく、kar2 なので注意)になる点だ。
通話料に関しては、050 plus は月額330円(税込み)と従量制の通話料の組み合わせになるが、050かけ放題の場合はその名の通り、常識的な範囲内でかけ放題として使うことができる。基本料、かけ放題通話料がセットで 1,078円(税込み)での提供になる。
050かけ放題の定額分を 050 plus の通話料で換算すると、携帯電話宛なら 42分30秒分もしくは 1分以内42通話分、固定電話宛なら 4時間15分分もしくは 3分以内85通話分なので、かなりヘビィに電話するユーザであればお得になる。
なお、イオンモバイルの SIM契約のオプションという扱いではあるものの、回線はイオンモバイルを使う必要はないので、家庭や会社で使っている LAN回線でも使えるし、他社SIM回線でも使える。
この記事で動作テストする際も、フレッツ光ネクスト + SoftBank系 ISP を使っているが、問題なく使えている。
ODN IP | 050 plus | イオン050 | ひかり電話 | SMARTalk | ippi | その他 | ||
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GS Wave | アプリ | note | 050 plus | イオン050 | 執筆予定 | 執筆予定 | ippi | TELNYX |
MizuDroid | アプリ | ODN IP | 050 plus | イオン050 | 執筆予定 | SMARTalk | ||
MicroSIP | PCソフト | ODN IP | 050 plus | 執筆予定 | 執筆予定 | ippi | TELNYX | |
YAMAHA NVR510 |
FXS ATA | ODN IP | 設定不可※1 | 設定不可※1 | ひかり電話 | SMARTalk | ||
GS HT802 | FXS ATA | ODN IP | 050 plus | イオン050 | ひかり電話 | |||
GS GXP1625 | SIP電話機 | note | 050 plus | 執筆予定 | ひかり電話 IPv6 |
SMARTalk | ippi | |
GS GRP2613 | SIP電話機 | note | イオン050 | |||||
GS WP820 | Wi-Fi電話機 | note | 050 plus | イオン050 | ||||
Poly Edge B30 |
SIP電話機 | 執筆中 | 050 plus | イオン050 | ひかり電話 | |||
Poly VVX250 |
SIP電話機 | ODN IP | 050 plus | 執筆予定 | ひかり電話 | SMARTalk | ippi | |
その他 | Acrobits Softphone Sipnetic Calls |
Acrobits Softphone Sipnetic (設定不可※2) |
Sipnetic Acrobits Softphone |
※1 : TLS が使えない。ポート番号を 5060以外に変えられない。SRTP が使えない。G.729aコーデックが使えない。
※2 : G.729aコーデックが使えない。