この記事では 050 IP電話サービスである、楽天コミュニケーションズ(旧フュージョン・コミュニケーションズ)の SMARTalk を無料SIP電話アプリの Acrobits Softphone で使う方法を紹介する。。
Sipnetic はロシアIPTON社が開発しているスマホ用SIPフォンアプリで無料で使用できる。細かな設定項目がたくさんある MizuDroid などと比べると、シンプルなデザインで日常使いのアプリとして使いやすそうな感じを受ける。英語、ドイツ語、ロシア語、ウクライナ語に対応しているが残念ながらいまのところ日本語には対応していない。
再掲になるが、
FUSION SMARTalk とは基本料無料で SIPアカウントを払い出し、DID の 050番号も付与されるというサービスで 050 IP電話系サービスの中ではそれなりに老舗でユーザも多いと思われるが、近年は新規ユーザの募集を停止しており一部ではサービス終了も噂されている。
これは他の 050系IP電話事業者全般で似たような傾向になっている。これまで、ほとんど本人確認しないで番号の払い出しを行っていた 050番号が特殊詐欺などで多用される現状から、総務省が各キャリアに新規で番号を発行する際は犯罪移転収益防止法に基づく本人確認を要請している。楽天フュージョンでは無料サービスのままではこの対応が容易ではないため新規申込みを中断しているものと考えられる。同業他社では、eKYC対応アプリなどを使って、申込者の運転免許証を撮影させるなどして本人確認を行っているケースもある。(蛇足ながら、SMARTalk は支払いにクレジットカードしか使えないが、足のつきやすいクレジットカードは組織犯罪では使われにくい。同じくクレジットカード支払いのみ対応している NTT Com の 050 plus では eKYCアプリによる本人確認などはなく、既存電話番号へのコールバックと、登録住所宛へのハガキの送付をもって確認済みとしている)
しかし、基本料が無料だったことからアカウントを持っているだけというユーザがそれなりの数居るはずで、SMARTalk のユーザ同士なら通話料も無料なのでアプリ通話が普及する前は、家族間での通話などで活用していた人も多いのではないだろうか。
SMARTalk のマイページにログインし、ユーザアカウント情報というタブをクリックすると、SIPアカウント情報が表示される。
必要なのは ドメイン、SIPアカウント、SIPパスワード の 3点だ。
ドメインは全ユーザ共通で、smart.0038.net になっている。SIPアカウントは自身に割り当てられた 050番号から、先頭の 050 を除いた電話番号の下8ケタになっている。(初期のユーザだと、8150 から始まる E.164形式の電話番号を使っていることもある)
アプリを起動するとスプラッシュ画面が出るので、右下の NEXT をタップする。
ENTER MANUALLY をタップする。
SIP Server名を入れる欄が表示されるので smart.0038.net(設定情報のドメイン) と入力し、右下の NEXT をタップする。
入力した SIP Server名から、オススメ設定があるかを探してくる。しばらく待つ。
FUSION SMARTalk のオススメ設定が自動的に適用される。
Login に設定情報の SIPアカウント、Password に SIPパスワード を入力し、ADVANCED SETTINGS をタップする。
Enable ICE のチェックを外す。
右上の ✓ をタップする。
右下の FINISH をタップする。
権限の付与を求められるので、許可する。
着信時にポップアップ表示するため、他のアプリの上に重ねて表示の権限を付与するように求められるので、GRANT PERMISSION をタップする。
アプリの一覧から Sipnetic をタップし、他のアプリの上に重ねて表示できるようにする を有効にする。
戻るボタンで戻る。
バックグラウンドでの常時実行するため、権限を付与するように求められるので 許可 をタップする。
システムの連絡帳と統合する場合、Grant permission をタップする。統合しないでいい場合は不要。
それぞれ、権限の付与を求められるので許可する。
左側のハンバーガーメニューをタップすると、アカウント名の左が緑色のチェックボックスになり、SIP REGISTER できたことがわかる。(SIP REGISTER に失敗すると、赤色のバツのアイコンになる)
マイページで使用可能なコーデックが確認できる。ITU-T G.711μ(PCMU)、G.722、Speex(8kHz)、GSM が使える。
左側のハンバーガーメニューをタップ、Settings をタップする。
Audio and video codecs をタップする。
G.711 μ-Law、G.722、Speex、GSM にチェックを入れて並び替え、右上の ✓ をタップする。
デフォルトのままだとスマホの起動時に自動で起動しないので、自動で起動するようにする。
Settings、Advanced と進む。
Auto-start にチェックを入れる。
スマホのアプリ、Lala Call の電話番号へ発信。
FUSION SMARTalk の電話番号(050-5800-xxxx)から掛かってきていることがわかる。
通話中の様子。
今度は逆に、スマホのアプリ、Lala Call から FUSION SMARTalk の番号に掛けてみる。
Lala Call の番号(050-7xxx-2500)から掛かってきている。
Lala Call 側で G.729a などの低ビットレートコーデックを使っているので音質はそれなりだけど、遅延などはあまり感じない。
現在のところ鉄板の SIP電話アプリ、Grandstream GS Wave があるものの、今後も Grandstream社が保守を続けてくれるかわからないので、代わりに使えるアプリをいくつか試している。
いくつかのアプリを試した中で、この Sipnetic は比較的使いやすそうに感じる。
Sinpnetic に ODN IPフォンを設定したときは、発進時と着信時で SIP のルーティングが違うため、Outbound Proxy(= SIP Registrar Server)以外の SIP URI が付与されて着信することになり、折り返しがスムースにいかなかったが、FUSION SMARTalk の場合は着信時の番号も 発信元の電話番号 @ smart.0038.net の SIP URI で掛かってくるので着信履歴からそのまま折り返し発信ができる。
なお、NTT 050 plus については、SIP REGISTER まではできるものの、050 plus では対応コーデックが G.729a のみとなっていて、Sipnetic では G.729a に非対応なので通話することができない。
ODN IP | 050 plus | イオン050 | ひかり電話 | SMARTalk | ippi | その他 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
GS Wave | アプリ | note | 050 plus | イオン050 | 執筆予定 | 執筆予定 | ippi | TELNYX |
MizuDroid | アプリ | ODN IP | 050 plus | イオン050 | 執筆予定 | SMARTalk | ||
MicroSIP | PCソフト | ODN IP | 050 plus | 執筆予定 | 執筆予定 | ippi | TELNYX | |
YAMAHA NVR510 |
FXS ATA | ODN IP | 設定不可※1 | 設定不可※1 | ひかり電話 | SMARTalk | ||
GS HT802 | FXS ATA | ODN IP | 050 plus | イオン050 | ひかり電話 | |||
GS GXP1625 | SIP電話機 | note | 050 plus | 執筆予定 | ひかり電話 IPv6 |
SMARTalk | ippi | |
GS GRP2613 | SIP電話機 | note | イオン050 | |||||
GS WP820 | Wi-Fi電話機 | note | 050 plus | イオン050 | ||||
Poly Edge B30 |
SIP電話機 | 執筆中 | 050 plus | イオン050 | ひかり電話 | |||
Poly VVX250 |
SIP電話機 | ODN IP | 050 plus | 執筆予定 | ひかり電話 | SMARTalk | ippi | |
その他 | Acrobits Softphone Sipnetic Calls |
Acrobits Softphone Sipnetic (設定不可※2) |
Sipnetic Acrobits Softphone |
※1 : TLS が使えない。ポート番号を 5060以外に変えられない。SRTP が使えない。G.729aコーデックが使えない。
※2 : G.729aコーデックが使えない。