いろ電話研究所の研究日誌

イオンモバイル050かけ放題を Grandstream GRP2613 で使う

2022-09-08 11:41
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イオンモバイル のオプションサービス、050かけ放題 を固定SIP電話機の、Grandstream GRP2613 に設定して使用する方法を紹介する。

イオンモバイルの 050かけ放題は、050 plus の NTTレゾナント(2022年7月に NTTコミュニケーションズからサービス移管)が提供する 050 IP電話サービス、050 plus の OEM版(050 VoIP SDK)を使っており、少し特殊な設定が必要なものの、標準的な仕様の SIP が使える電話機から使うことができる。

Grandstream GRP2613 とは

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Grandstrema GRP2613 は、以前の記事で登場した GXP1625 よりもう少し高性能な SIP電話機で、3回線の SIP回線を収容できる。

コールセンター用の SIP電話機と思われるが、実売価格は GXP1625 とほとんど同じで性能は明らかにこちらが上なので、これから入手される場合はこちらの機種をおすすめする。

050かけ放題の SIP情報

050 plus では SIP情報をちょっとしたウラワザで取得する必要があったが、イオンモバイルの 050かけ放題の場合は、契約時に渡される イオンモバイル通信サービスお申し込み完了通知書 に SIP情報(の一部)が記載されている。

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050電話番号、ユーザID、パスワードが書かれている。050 plus の nicNm に相当するのは、fmc + (050電話番号から先頭の 050 を除いたもの)、sipID がユーザID、sipPwd がパスワードになる。

ここに記載がないが、SIP Domain は 050sdk.com、SIP Outbound Proxy は kar2-f2fcp.050sdk.com:443 が使われている。

Grandstream GRP2613 の設定

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ブラウザから https://(GRP2613 の IPアドレス)/ にアクセスする。ブラウザから証明書エラーの警告が表示されると思うが、強制的にアクセスする。(それしか方法がない)

初期ユーザ名は admin、初期パスワードは本体の裏のラベルに印刷されている。

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初期パスワードから、パスワードを変更する。

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左のメニューから、System SettingsSecurity Settings へ進み、Web Access Mode を HTTP に変更。

Save and Apply ボタンをクリックする。これで以後、http でアクセスできるようになる。(ブラウザの警告も出なくなる)

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http でアクセスし直して、再度、ログインする。

アカウントアカウント 1一般設定 へ進む。

アカウント有効 にチェックを入れる。

アカウント名は液晶画面での表示に使うだけなのでなんでもよい。(ここでは 050aeon とした)

SIPサーバに、050sdk.com と入力する。

アウトバウンドプロキシに kar2-f2fcp.050sdk.com:443 と入力する。

SIPユーザID に fmc + (050電話番号の下8ケタ) を入力する。

認証ID に ユーザID、認証パスワードに パスワード を入力する。

NATトラバースを Keep-Alive にする。

保存ボタンをクリック。

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上のタブで SIP設定 をクリックする。

登録期限と登録有効期限に 10 と入力する。

SIP転送(これは誤訳で、正しくは SIPトランスポート)を TLS/TCP にする。

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ローカルSIPポートをランダムな大きな数字(20,000~65,500 くらい)にする。

TLS使用する際の SIP URIスキームを SIP にする。

保存して適用ボタンをクリック。

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状態アカウント状態 へ移動する。

SIP REGISTER できているので SIP登録が YES になる。

コーデックの設定

050かけ放題ではコーデックとして ITU-T G.729A しか使えないので、コーデックを設定する。

アカウントアカウント1コーデック設定 へ進む。

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プライマリ音声方式を操作して、選択済み側を G.729A/B のみにする。

無音抑止にチェックを入れる。

ジッター・バッファ長を 100ms にする。

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SRTPモードを 有効および強制 にする。

保存して適用ボタンをクリックする。

これで発着信して通話できる状態になっている。

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オススメの設定

アカウントアカウント1詳細設定 に進む。

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プロキシから受信する SIP のみを許可します受信INVITE の SIPユーザID を確認 にチェックを入れる。

保存して適用ボタンをクリックする。

これにより、たまたまポート番号が衝突し、さらに運が悪く NAPT も変換してしまったパケットであっても、中身を精査することで不正な SIP INVITE を破棄することができる。特に、SIPユーザID については法則性を知っていれば(イオンモバイルの場合、fmc + 050電話番号の下8ケタ)攻撃者がズバリ言い当てることはできるだろうが、プロキシを第三者が偽装するのは困難なので、これでほぼ spam は防げると思われる。

050かけ放題から発信する

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携帯電話の番号に発信する。

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すこし見づらいが、イオンモバイル050かけ放題の電話番号(050-3778-xxxx)から掛かってきていることがわかる。

050かけ放題で着信する

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スマホに収容した Lala Call から イオンモバイル050かけ放題の番号宛に発信。

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通話中の様子。コーデックとして G729 を使っていることが表示される。

遅延はほとんどないが、コーデックに ITU-T G.729A を使っているので音質は一昔前の国際電話並に悪い。

まとめ

イオンモバイルの SIM契約のオプションで加入できる、050かけ放題は仕組みとしては OCN(NTTレゾナント)の 050 plus とほぼ同じもの(050 VoIP SDK)を使っているので、設定などもほとんど同じで動作する。

設定での違いとしては、SIP Oubtound Proxy が、050 plus では kar-f2fcp.050plus.com:443 を使っているところが、050 VoIP SDK では kar2-f2fcp.050sdk.com:443 (kar ではなく、kar2 なので注意)になる点だ。

通話料に関しては、050 plus は月額330円(税込み)と従量制の通話料の組み合わせになるが、050かけ放題の場合はその名の通り、常識的な範囲内でかけ放題として使うことができる。基本料、かけ放題通話料がセットで 1,078円(税込み)での提供になる。

050かけ放題の定額分を 050 plus の通話料で換算すると、携帯電話宛なら 42分30秒分もしくは 1分以内42通話分、固定電話宛なら 4時間15分分もしくは 3分以内85通話分なので、かなりヘビィに電話するユーザであればお得になる。

なお、イオンモバイルの SIM契約のオプションという扱いではあるものの、回線はイオンモバイルを使う必要はないので、家庭や会社で使っている LAN回線でも使えるし、他社SIM回線でも使える。

この記事で動作テストする際も、フレッツ光ネクスト + SoftBank系 ISP を使っているが、問題なく使えている。

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※1 : TLS が使えない。ポート番号を 5060以外に変えられない。SRTP が使えない。G.729aコーデックが使えない。
※2 : G.729aコーデックが使えない。


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