イオンモバイル のオプションサービス、050かけ放題 を固定SIP電話機の、Grandstream GRP2613 に設定して使用する方法を紹介する。
イオンモバイルの 050かけ放題は、050 plus の NTTレゾナント(2022年7月に NTTコミュニケーションズからサービス移管)が提供する 050 IP電話サービス、050 plus の OEM版(050 VoIP SDK)を使っており、少し特殊な設定が必要なものの、標準的な仕様の SIP が使える電話機から使うことができる。
Grandstrema GRP2613 は、以前の記事で登場した GXP1625 よりもう少し高性能な SIP電話機で、3回線の SIP回線を収容できる。
コールセンター用の SIP電話機と思われるが、実売価格は GXP1625 とほとんど同じで性能は明らかにこちらが上なので、これから入手される場合はこちらの機種をおすすめする。
050 plus では SIP情報をちょっとしたウラワザで取得する必要があったが、イオンモバイルの 050かけ放題の場合は、契約時に渡される イオンモバイル通信サービスお申し込み完了通知書 に SIP情報(の一部)が記載されている。
050電話番号、ユーザID、パスワードが書かれている。050 plus の nicNm に相当するのは、fmc + (050電話番号から先頭の 050 を除いたもの)、sipID がユーザID、sipPwd がパスワードになる。
ここに記載がないが、SIP Domain は 050sdk.com、SIP Outbound Proxy は kar2-f2fcp.050sdk.com:443 が使われている。
ブラウザから https://(GRP2613 の IPアドレス)/ にアクセスする。ブラウザから証明書エラーの警告が表示されると思うが、強制的にアクセスする。(それしか方法がない)
初期ユーザ名は admin、初期パスワードは本体の裏のラベルに印刷されている。
初期パスワードから、パスワードを変更する。
左のメニューから、System Settings、Security Settings へ進み、Web Access Mode を HTTP に変更。
Save and Apply ボタンをクリックする。これで以後、http でアクセスできるようになる。(ブラウザの警告も出なくなる)
http でアクセスし直して、再度、ログインする。
アカウント、アカウント 1、一般設定 へ進む。
アカウント有効 にチェックを入れる。
アカウント名は液晶画面での表示に使うだけなのでなんでもよい。(ここでは 050aeon とした)
SIPサーバに、050sdk.com と入力する。
アウトバウンドプロキシに kar2-f2fcp.050sdk.com:443 と入力する。
SIPユーザID に fmc + (050電話番号の下8ケタ) を入力する。
認証ID に ユーザID、認証パスワードに パスワード を入力する。
NATトラバースを Keep-Alive にする。
保存ボタンをクリック。
上のタブで SIP設定 をクリックする。
登録期限と登録有効期限に 10 と入力する。
SIP転送(これは誤訳で、正しくは SIPトランスポート)を TLS/TCP にする。
ローカルSIPポートをランダムな大きな数字(20,000~65,500 くらい)にする。
TLS使用する際の SIP URIスキームを SIP にする。
保存して適用ボタンをクリック。
状態、アカウント状態 へ移動する。
SIP REGISTER できているので SIP登録が YES になる。
050かけ放題ではコーデックとして ITU-T G.729A しか使えないので、コーデックを設定する。
アカウント、アカウント1、コーデック設定 へ進む。
プライマリ音声方式を操作して、選択済み側を G.729A/B のみにする。
無音抑止にチェックを入れる。
ジッター・バッファ長を 100ms にする。
SRTPモードを 有効および強制 にする。
保存して適用ボタンをクリックする。
これで発着信して通話できる状態になっている。
アカウント、アカウント1、詳細設定 に進む。
プロキシから受信する SIP のみを許可します と 受信INVITE の SIPユーザID を確認 にチェックを入れる。
保存して適用ボタンをクリックする。
これにより、たまたまポート番号が衝突し、さらに運が悪く NAPT も変換してしまったパケットであっても、中身を精査することで不正な SIP INVITE を破棄することができる。特に、SIPユーザID については法則性を知っていれば(イオンモバイルの場合、fmc + 050電話番号の下8ケタ)攻撃者がズバリ言い当てることはできるだろうが、プロキシを第三者が偽装するのは困難なので、これでほぼ spam は防げると思われる。
携帯電話の番号に発信する。
すこし見づらいが、イオンモバイル050かけ放題の電話番号(050-3778-xxxx)から掛かってきていることがわかる。
スマホに収容した Lala Call から イオンモバイル050かけ放題の番号宛に発信。
通話中の様子。コーデックとして G729 を使っていることが表示される。
遅延はほとんどないが、コーデックに ITU-T G.729A を使っているので音質は一昔前の国際電話並に悪い。
イオンモバイルの SIM契約のオプションで加入できる、050かけ放題は仕組みとしては OCN(NTTレゾナント)の 050 plus とほぼ同じもの(050 VoIP SDK)を使っているので、設定などもほとんど同じで動作する。
設定での違いとしては、SIP Oubtound Proxy が、050 plus では kar-f2fcp.050plus.com:443 を使っているところが、050 VoIP SDK では kar2-f2fcp.050sdk.com:443 (kar ではなく、kar2 なので注意)になる点だ。
通話料に関しては、050 plus は月額330円(税込み)と従量制の通話料の組み合わせになるが、050かけ放題の場合はその名の通り、常識的な範囲内でかけ放題として使うことができる。基本料、かけ放題通話料がセットで 1,078円(税込み)での提供になる。
050かけ放題の定額分を 050 plus の通話料で換算すると、携帯電話宛なら 42分30秒分もしくは 1分以内42通話分、固定電話宛なら 4時間15分分もしくは 3分以内85通話分なので、かなりヘビィに電話するユーザであればお得になる。
なお、イオンモバイルの SIM契約のオプションという扱いではあるものの、回線はイオンモバイルを使う必要はないので、家庭や会社で使っている LAN回線でも使えるし、他社SIM回線でも使える。
この記事で動作テストする際も、フレッツ光ネクスト + SoftBank系 ISP を使っているが、問題なく使えている。
ODN IP | 050 plus | イオン050 | ひかり電話 | SMARTalk | ippi | その他 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
GS Wave | アプリ | note | 050 plus | イオン050 | 執筆予定 | 執筆予定 | ippi | TELNYX |
MizuDroid | アプリ | ODN IP | 050 plus | イオン050 | 執筆予定 | SMARTalk | ||
MicroSIP | PCソフト | ODN IP | 050 plus | 執筆予定 | 執筆予定 | ippi | TELNYX | |
YAMAHA NVR510 |
FXS ATA | ODN IP | 設定不可※1 | 設定不可※1 | ひかり電話 | SMARTalk | ||
GS HT802 | FXS ATA | ODN IP | 050 plus | イオン050 | ひかり電話 | |||
GS GXP1625 | SIP電話機 | note | 050 plus | 執筆予定 | ひかり電話 IPv6 |
SMARTalk | ippi | |
GS GRP2613 | SIP電話機 | note | イオン050 | |||||
GS WP820 | Wi-Fi電話機 | note | 050 plus | イオン050 | ||||
Poly Edge B30 |
SIP電話機 | 執筆中 | 050 plus | イオン050 | ひかり電話 | |||
Poly VVX250 |
SIP電話機 | ODN IP | 050 plus | 執筆予定 | ひかり電話 | SMARTalk | ippi | |
その他 | Acrobits Softphone Sipnetic Calls |
Acrobits Softphone Sipnetic (設定不可※2) |
Sipnetic Acrobits Softphone |
※1 : TLS が使えない。ポート番号を 5060以外に変えられない。SRTP が使えない。G.729aコーデックが使えない。
※2 : G.729aコーデックが使えない。