いろ電話研究所の研究日誌

050 plus を Grandstream WP820 で使う

2022-08-09 05:35
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この記事では、米国ボストン Grandstream社の Wi-Fi SIP電話機、WP820 で NTTレゾナントの 050 plus を使う方法を紹介する。

050 plus は NTTレゾナント(2022年7月に NTTコミュニケーションズからサービス移管)が提供する 050 IP電話サービスで、少し特殊な設定が必要なものの、標準的な仕様の SIP が使える電話機から使うことができる。

Grandstream WP820 とは

Grandstream WP820 は、Wi-Fi を使ってコードレスで使える SIP電話機で、2回線の SIP回線を収容できる。

スマホに Grandstream GS Wave や MizuDroid などの SIPアプリを入れてしまえば似たようなことができるので、あまり需要はないかもしないが、クレードルに置くだけで充電されるなど便利な点もあって、SIP電話機でもコードレス電話機の需要はあると思う。

050 plus の SIP情報

こちらも再掲となるが、curl コマンドで取得することができる。面倒であれば、ブラウザから 050 plus の SIP情報を取得できる HTML を公開している人がいるので、それを使用する。

curlコマンドは、

% curl \
-X POST \
--header "User-Agent: hoge" \
--data 'ifVer=7.0&apVer=2.0.4&buildOS=IOS&buildVer=5.1&buildModel=Android&earlyStFlg=0&no050=(050電話番号)&pw050=(パスワード)' \
https://start.050plus.com/sFMCWeb/other/InitSet.aspx \
>050plus-0503690xxxx.xml

このコマンドを実行するとアカウント情報が、050plus-0503690xxxx.xml に保存される。

xmllintコマンドで中身を見ると、

% xmllint --format 050plus-0503690xxxx.xml
<?xml version="1.0"?>
<replyInfo>
 <resultInfo>
   <resCd>N0000</resCd>
   <resMsg>正常に終了しました</resMsg>
   <errCd/>
 </resultInfo>
 <resultEarlySt>
   <sipID>ThisIsSIPID</sipID>
   <sipPwd>ThisIsSIPPassword</sipPwd>
   <tranGwInfo>
     <tranGwAd>kar-f2fcp.050plus.com</tranGwAd>
     <payTranGwPNm>443</payTranGwPNm>
     <freeTranGwPNm>5075</freeTranGwPNm>
     <nicNm>fmc3690xxxx</nicNm>
     <pingTm>600</pingTm>
     <pongTm>120</pongTm>
   </tranGwInfo>
   <ticketInfo>
     <ticketEx/>
   </ticketInfo>
   <chargPlan>02</chargPlan>
   <frdCd>301TSQ49</frdCd>
   <rNo050>0503690xxxx</rNo050>
   <rDistingId>xxxxxxxxx</rDistingId>
 </resultEarlySt>
</replyInfo>

必要な情報は、tranGwAdpayTranGwPNm(SIP REGISTER する際の SIPサーバ、並びに SIP Proxyサーバ、ポート番号)、nicNm(SIP Username)、sipID(SIP Auth Name)、sipPwd(SIP Password)なのでこれをメモする。

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nicNm は、fmc + (電話番号から先頭の 050 を除いたもの)になっているはずだ。sipID と sipPwd は英数字のランダムな文字列が使われている。

Grandstream WP820 の設定

Grandstream WP820 は Wi-Fi を使ってネットワークに接続するので Wi-Fi の設定も必要だが、今回は割愛する。

これまで紹介してきた GXP1625 や GRP2613 よりさらに設計が新しいので設定画面もわかりやすくなっている。ただし、日本語は無いので English のまま使う。

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本体を操作し、メニュー、状態、ネットワーク状態、へ進むと本体に割り当てられた IPアドレスがわかる。ホーム状態から右ボタンのショートカットで表示される。

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ブラウザから表示された IPアドレスにアクセスすると管理画面が表示される。

Username と Password はデフォルトでどちらも admin なのでログインして、まずパスワードを複雑なものに変更する。

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Account、Account 1(Account 2 でもよい)、General Settings へ進む。

Acccount Active にチェックを入れる。

Account Name は端末での識別用なのでなんでもよい。(ここれは 050 plus と入力した)

SIP Server に 050plus.com(イオンモバイルの場合は 050sdk.com) と入力する。

SIP User ID にアカウント情報で取得した nicNm、SIP Authentication ID に sipID、SIP Authentication Password に sipPwd を入力する。

Outbound Proxy に kar-f2fcp.050plus.com:443(tranGwAd : payTranGwPNm)と入力する。

Save をクリック。

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SIP Settings をクリック。

SIP Registration にチェックを入れる。

Register Expiration (m) に 10 と入力する。

SIP Transport を TLS にする。

Local SIP Port は他人から推測されにくければなんでもよい。(ここでは 25061 とした)

SIP URI Scheme When Using TLS を sip にする。

Save をクリック。

Apply をクリック。

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Status、Account Status に進む。

Status が Registered になっていれば SIP REGISTER できている。

コーデックの設定

050 plus ではコーデックとして ITU-T G.729A を使うのでコーデックを設定する。

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Account、Account 1(もしくは Account 2)、Codec Settings へ進む。

Preferred Vocoder を操作して、Selected 側を G729A/B のみにする。

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SRTP Mode を Enabled and forced にする。

Save をクリック。

Apply をクリック。

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なお設定に使ったファームウェアのバージョンなどは上記の通り。

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050 plus から発信する

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ODN IPフォンに発信。

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すこし見づらいが、050 plus の電話番号(050-3690-xxxx)から掛かってきていることがわかる。

050 plus で着信する

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スマホの Lala Call から 050 plus の番号宛に発信。

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Lala Call の電話番号(050-7xxx-2500) から掛かってきていることがわかる。

遅延は気になるほどではないが、コーデックに ITU-T G.729A を使っているので音質は一昔前の国際電話並に悪い。

まとめ

NTTレゾナントの 050 plus は、月額330円(税込み)でプロバイダフリーに使える SIPアカウントを払い出してくれる数少ないサービスではあるものの、SIP の標準的な設定(UDP/IP 5060ポート、非SRTP、PCMUコーデックで使う)が使えないことで、少し敷居は高いものの、一度設定してしまえば安定して使えるのでとてもオススメのサービスだ。

コツとしては、SIP URI が nicNm @ 050plus.com になる、認証の SIP Domain が 050plus.com、SIP AuthName が sipID、SIP AuthPassword が sipPwd になる、Outbound Proxyサーバとして kar-f2fcp.050plus.com:443(tranGwAd : payTranGwPNm)を使う、コーデックとして G.729A を使う、といった要点さえ抑えておくと良い。特に着信はするのに発信できないといったトラブルが出ているときは、コーデックの設定が間違っていることが考えられるので(PCMU などを提案してしまっている)、今一度、設定が上記の組み合わせになっているか、見直してみること。

イオンモバイルで提供される話し放題の 050 IP電話オプションも中身としては 050 plus の OEM版(050 SDK)なのでほぼ同じ設定で動くはずだ。イオンモバイルで使う場合は SIP URI が nicNm @ 050sdk.com、認証の SIP Domain が 050sdk.com、Outbound Proxyサーバが kar2-f2fcp.050sdk.com:443 と読み替えて設定して欲しい。

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※1 : TLS が使えない。ポート番号を 5060以外に変えられない。SRTP が使えない。G.729aコーデックが使えない。
※2 : G.729aコーデックが使えない。


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