いろ電話研究所の研究日誌

ODN IPフォンを MizuDroid で使う

2022-08-03 11:22
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以前の記事で SoftBank系050IP電話サービスの ODN IPフォンを、YAMAHA NVR510 に接続したアナログ電話機から使うHT802 に接続したアナログ電話機から使うスマホアプリの Grandstream GS Wave で使うSIP電話機 Grandstream GXP1625 で使うSIP電話機 Grandstream GRP2613 で使うWiFi電話機 Grandstream WP820 で使う方法を紹介してきた。

今回もまた ODN IPフォン の設定情報を紹介する。

ODN IPフォンは SoftBank系IP電話基本料金無料SIP情報ありISPフリーとまさに 神サービス なので、あらゆる接続情報を全力でシェアしたい。

MizuDroid とは

MizuDroid はルーマニアMizuTech社が開発しているスマホ用SIPフォンアプリで無料で使用できる。設定できる項目が多くてとっつきにくい面も否めないが、ほとんどの SIPプロバイダーに対応できる。(けっこう、設定のクセとアプリ側の設定項目の制約によって、ほかのアプリだと使えない組み合わせもある)

ODN IPフォンとは

再掲になるが、

ODN IPフォンは、ISP の ODN が同社のユーザ向けに提供している 050番号を使った IP電話サービスで、申込みが必要なものの基本料金はかからず利用できる。ODN の ISPアカウントは、NTT東西のフレッツ光ネクスト向けであれば 1,320円/月(税込み)(2年間は 1,100円/月(税込み))とライバル社と比べても比較的安価なので、ODN IPフォンを使うために現在使っている ISP からの乗り換えを検討してもよいと思う。ちなみに私は、ODN IPフォンを使いたいために ISP を 2,200円/月(税込み)の IIJ から ODN に乗り換えた。

ODN は元々、日本テレコムという JR系の電話会社の提供する ISPサービスだったが日本テレコムが SoftBank に買収されたため、現在は SoftBank の ISPサービスの一部になっている。

SoftBank は光コラボの SoftBank光、NTT東西フレッツ光ネクスト向けの ISPサービスである Yahoo!BB光、そして個人・法人向けのフレッツ光ネクスト向けの ISPサービスである ODN、法人向けのフレッツ光向けの ISPサービスである SpinNet と歴史的な理由もあって 4つの ISPブランドが併売されているが、Yahoo!BB光と ODN は似たようなサービス内容でどちらも 1,320円/月(税込み)なので、IPoE IPv6 が使いたい、BBフォンを使いたい(光BBユニットという独自の CPE をレンタル(レンタル料金が必要)する必要がある)場合は、Yahoo!BB光、ODN IPフォンを使いたい場合は ODN を選べば良い。

同じ SoftBankグループの SoftBank光や Yahoo!BB光では 050番号を使った IP電話サービスとして BBフォンを提供しているが、BBフォンを利用するには 513円/月(税込み)の光BBユニットのレンタルが必要で、さらにいわゆるナンバーディスプレイのようなサービスを使う場合は番号表示サービス 330円/月(税込み)のオプションが必要となり、基本料金は無料であるものの、実質、有料オプションと言ってもよい仕様になっている。

BBフォンと違って ODN IPフォンの場合は汎用の SIP規格を使うので、自前で用意した SIP電話機やスマホの SIPアプリを使うことができ、かつ契約には ODN の ISP契約が必要であるものの、ODN IPフォンの利用自体は他の回線からも可能なので、SoftBank系に通話料無料で ISPフリーで使える、というある意味隠れた名サービスと言える。

なお、通話料が相互に無料になる相手は、ODN IPフォン(電話番号050-20xx-xxxx が多い)、BBフォン(050-1xxx-xxxx)、Dialpad(050-1xxx-xxxx)だけだが、逆に掛けてもらう時は KDDI-IP電話や KDDI系の CATV系事業者(ケーブルプラス電話)からも通話料無料になる。

というサービスで設定情報は郵送で送られてくる。

ODN IPフォンの設定情報

こちらも再掲になるが、ODN から送られてくる ODN IPフォンの設定情報がこちら。

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必要なのは SIPサーバ名、IP電話番号、IP電話パスワードの 3点のみ。ほかは不要。

MizuDroid の設定

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Server に blu.odn.ne.jp(設定情報の SIPサーバ名)、Username に IP電話番号、Password に IP電話パスワード を入力する。

Advanced... をタップする。

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Transport Protocol を UDP にする。

Proxy address に blu.odn.ne.jp を入力する。

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Advanced settings... をタップする。

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OK をタップする。

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SIP Settings... をタップする。

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Tunneling and encryption を Always にする。

Proxy address に blu.odn.ne.jp を入力する。

Use STUN を Always にする。

STUN server に stun.l.google.com:19302 を入力する。

Register を Yes にする。

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右上のハンバーガーメニューをタップして、Save settings をタップする。

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いくつかの権限を求められるので、許可を出す。

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Registered. と表示され、SIP REGISTER できたことがわかる。

コーデックの設定

ODN IPフォンではコーデックとして ITU-T G.711μ(PCMU) を使うのでコーデックを設定する。

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Settings、Media Settings... をタップ。

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Audio codec で PCMUOpus を選択して OK をタップ。

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Preferred codec で PCMU を選択。Save settings する。

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オススメの設定

デフォルトのままだとフォアグラウンドの時しか待ち受けしないので、バックグラウンドでも動作するようにする。

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Settings、General Settings...をタップ。

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Run in background を Yes にする。

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また、Display notification を Always にしておくと通知バーに常駐するようになる。

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On double back を Keep running にしておくとバックキーで終了しなくなる。(SIP REGISTER も維持される。バックグラウンドでも着信する)

発信と着信

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BBフォンを収容した Grandstream WP820 から、ODN IPフォンの電話番号へ発信。

すこし見づらいが、BBフォンの電話番号(050-1389-xxxx)から掛かってきていることがわかる。

写真は無いが逆に MizuDroid から発信すると、ODN IPフォン(050-2008-xxxx)から掛かってくる。

コーデックに ITU-T G.711μ(PCMU)を使っているので遅延も感じず、音質がとても良い。

まとめ

MizuDroid は設定できる項目がとても多いのでとっつきづらさはあるが、細かい設定ができるため様々な IP電話プロバイダーを使うことができる。マルチアカウントにも対応しているので、Grandstream GS Wave と並んでとてもオススメできるアプリと言える。

記事を執筆するためにパラメータをいくつか試してみたが、例えば Tunneling and encryption は Outbound Proxy を使うかどうか、の挙動に関わってくるらしく、Always 以外の場合も発着信はできるものの、音声が通じない、などの中途半端な挙動も見られた。(Always にすることで、すべてのパケットを Outbound Proxy経由にするらしい)

GS Wave に慣れていると、設定を終えた後にバックキーで戻ってしまうが、MizuDroid の場合はメニューから Save settings をしないと設定が破棄されてしまい反映されないなど、ちょっとクセがあるので慣れるまで時間が必要かもしれない。

正直、GS Wave が使えるのであれば設定のしやすさを含めて、GS Wave に軍配が上がるものの、Grandstream社はあまりメンテナンスに積極的とはいえず、いつ公開がとまってもおかしくないので、バックアッププランとして MizuDroid は常にキャッチアップしていきたい。このアプリにどれほどの需要があるかわからないが、今後も機会があれば他の IP電話プロバイダーでの設定例も紹介していく予定だ。

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※1 : TLS が使えない。ポート番号を 5060以外に変えられない。SRTP が使えない。G.729aコーデックが使えない。
※2 : G.729aコーデックが使えない。


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