いろ電話研究所の研究日誌

FUSION SMARTalk を Poly VVX250 で使う

2022-08-01 11:33
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この記事では 050 IP電話サービスである、楽天コミュニケーションズ(旧フュージョン・コミュニケーションズ)の SMARTalk を SIP電話機の Poly VVX250 で使う方法を紹介する。

Poly VVX250 とは

Poly VVX250 は米国カリフォルニア州poly社が製造販売する汎用の SIP電話機で、日本ではあまりメジャーではないものの、米国では同社の製品がウォルマートでも販売されているなど、一定の知名度がある。

poly はかつては Polycom というブランド名で、日本でも出始めの頃(2000年代前半)のリモート会議用のスピーカーフォンなどで定番だったこともある。

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今回紹介する poly VVX250 は SIP 6回線(OBi版ファームウェアの場合)もしくは 34回線(UC版ファームウェアの場合)を収容できる SIP電話機で、新機種の poly Edge B シリーズの元になったとも言えるデザインで、ボタンの数や性能などはほぼ同じだ。poly Edge B30 に比べると液晶の解像度が高くてカラーになり、無線LAN で接続することもできる。

いまは poly のブランド名で売られているが、元は poly が買収した OBIHAI Technology が開発販売していた電話機で、初期のハードウェアでは昔のブランド、Polycom の銘板のものもある。

2バージョンのファームウェア

poly VVX250 をはじめ、VVXx50シリーズでは 2系統の機能の異なるファームウェアが存在する。一つが、Polycom UC Software でもう一つが、Polycom OBi Edition Softwareだ。以下本記事では、UC版、OBi版と呼ぶ。

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2つのバージョンの見分け方は、バージョン情報を見たときに、6.4.3.5156 のようなリビジョンの最後が 4ケタの表記なら UC版、6.4.1.1 のようなリビジョンの表記なら OBi版がインストールされている。

本記事では、UC版ファームウェアをインストールした本体を使用する。

FUSION SMARTalk とは

再掲になるが、

FUSION SMARTalk とは基本料無料で SIPアカウントを払い出し、DID の 050番号も付与されるというサービスで 050 IP電話系サービスの中ではそれなりに老舗でユーザも多いと思われるが、近年は新規ユーザの募集を停止しており一部ではサービス終了も噂されている。

これは他の 050系IP電話事業者全般で似たような傾向になっている。これまで、ほとんど本人確認しないで番号の払い出しを行っていた 050番号が特殊詐欺などで多用される現状から、総務省が各キャリアに新規で番号を発行する際は犯罪移転収益防止法に基づく本人確認を要請している。楽天フュージョンでは無料サービスのままではこの対応が容易ではないため新規申込みを中断しているものと考えられる。同業他社では、eKYC対応アプリなどを使って、申込者の運転免許証を撮影させるなどして本人確認を行っているケースもある。(蛇足ながら、SMARTalk は支払いにクレジットカードしか使えないが、足のつきやすいクレジットカードは組織犯罪では使われにくい。同じくクレジットカード支払いのみ対応している NTT Com の 050 plus では eKYCアプリによる本人確認などはなく、既存電話番号へのコールバックと、登録住所宛へのハガキの送付をもって確認済みとしている)

しかし、基本料が無料だったことからアカウントを持っているだけというユーザがそれなりの数居るはずで、SMARTalk のユーザ同士なら通話料も無料なのでアプリ通話が普及する前は、家族間での通話などで活用していた人も多いのではないだろうか。

SMARTalk の SIP情報を確認する

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SMARTalk のマイページにログインし、ユーザアカウント情報というタブをクリックすると、SIPアカウント情報が表示される。

必要なのは ドメインSIPアカウントSIPパスワード の 3点だ。

ドメインは全ユーザ共通で、smart.0038.net になっている。SIPアカウントは自身に割り当てられた 050番号から、先頭の 050 を除いた電話番号の下8ケタになっている。(初期のユーザだと、8150 から始まる E.164形式の電話番号を使っていることもある)

Poly VVX250 の設定

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本体で ホーム6 設定4 ステータス2 ネットワーク1 TCP/IPパラメータ で表示される IPv4アドレスにブラウザからアクセスするると管理画面が表示される。

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Adminユーザのデフォルトパスワードは 456 なのでログインしてから複雑なものに変更しておく。

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設定回線 へ進む。

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表示名は電話機内での識別用なので、自分でわかりやすいように SMARTalk など、任意の文字列などを入れる。アドレスは SIPアカウント を入れる。

認証のドメインの欄に smart.0038.net、ユーザID に SIPアカウント、パスワードに SIPパスワード を入力する。

発信プロキシのアドレスの欄に smart.0038.net、ポートに 5060 を入力、Transport を UDPOnly にする。

サーバ1 のアドレスに smart.0038.net、ポートに 5060 を入力、Transport を UDPOnly、登録を はい にして 保存 をクリック。

コーデックの設定

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マイページで使用可能なコーデックが確認できる。ITU-T G.711μ(PCMU) や Speex(8kHz) が使える。

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Poly VVX250 は Speex(古い規格で、現在は Opus に置き換えられている) に非対応なので、設定音声コーデックの優先順位 で使用中に G.711Mu を追加する。

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発信する

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Poly VVX250 からスマホの Lala Call に向けて発信。

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SMARTalk の番号(050-5800-0xxx)から掛かってきている。

着信する

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スマホに収容した Lala Call から、SMARTalk の番号に発信。

Lala Call の番号(050-7xxx-2500) から掛かってきている。

まとめ

新規アカウントの作成ができないことから、手放しにはオススメできないものの、挙動が素直で安定しているのでとても使いやすい。

対応しているコーデックの幅が広く、特にファックスで使える ITU-T G.711μ に対応している点は、ライバルサービスの NTTレゾナント 050 plus に対しての大きなアドバンテージであり、すでにアカウントを取得済みの人は積極的に使って欲しい。ただ、サービスインのころから仕様が変わっておらず、すでに次世代規格の Opus に置き換えられた古いコーデックである Speex や iLBC が使える一方で、Opus に非対応のままである点などが気になる。

本記事では触れなかったが、通話料が他社より若干高く設定されており、携帯電話宛は 8.8円/30秒(税込み)と他社と足並みを揃える一方、固定電話宛も同じ 8.8円/30秒(税込み)のレートとなるので、固定電話あての通話が多いと基本料が無料で使えるメリットを相殺してしまうかもしれない。

無料通話できる提携先も少なく、大手だとオプテージ系(eo光電話、Lala Call)や ctc系(コミュファ光電話)など電力系のみしか無いのも気になるが、これは大手他社の SoftBank、NTTレゾナント、NTTぷららも状況はほとんど同じなので、決まった先との通話用と割り切った使い方が必要かもしれない。

個人的には 050 plus 並の月額330円(税込み)の有料サービスとし、その代わりに固定電話宛を他社と同じ水準の 8.8円/3分(税込み)になると、誰でも ISPフリーで使え、標準的な SIPアプリ、SIP電話機からも使える本当の神サービスとなるので新規募集再開と合わせて期待したい。またできれば、Speex、iLBC のサポートは終了して良いと思うので、Opus への対応も求めたい。

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※1 : TLS が使えない。ポート番号を 5060以外に変えられない。SRTP が使えない。G.729aコーデックが使えない。
※2 : G.729aコーデックが使えない。


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