いろ電話研究所の研究日誌

FUSION SMARTalk を MizuDroid で使う

2022-08-17 09:27
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この記事では 050 IP電話サービスである、楽天コミュニケーションズ(旧フュージョン・コミュニケーションズ)の SMARTalk を無料SIP電話アプリの MizuDroid で使う方法を紹介する。。

MizuDroid とは

MizuDroid はルーマニアMizuTech社が開発しているスマホ用SIPフォンアプリで無料で使用できる。設定できる項目が多くてとっつきにくい面も否めないが、ほとんどの SIPプロバイダーに対応できる。(けっこう、設定のクセとアプリ側の設定項目の制約によって、ほかのアプリだと使えない組み合わせもある)

FUSION SMARTalk とは

再掲になるが、

FUSION SMARTalk とは基本料無料で SIPアカウントを払い出し、DID の 050番号も付与されるというサービスで 050 IP電話系サービスの中ではそれなりに老舗でユーザも多いと思われるが、近年は新規ユーザの募集を停止しており一部ではサービス終了も噂されている。

これは他の 050系IP電話事業者全般で似たような傾向になっている。これまで、ほとんど本人確認しないで番号の払い出しを行っていた 050番号が特殊詐欺などで多用される現状から、総務省が各キャリアに新規で番号を発行する際は犯罪移転収益防止法に基づく本人確認を要請している。楽天フュージョンでは無料サービスのままではこの対応が容易ではないため新規申込みを中断しているものと考えられる。同業他社では、eKYC対応アプリなどを使って、申込者の運転免許証を撮影させるなどして本人確認を行っているケースもある。(蛇足ながら、SMARTalk は支払いにクレジットカードしか使えないが、足のつきやすいクレジットカードは組織犯罪では使われにくい。同じくクレジットカード支払いのみ対応している NTT Com の 050 plus では eKYCアプリによる本人確認などはなく、既存電話番号へのコールバックと、登録住所宛へのハガキの送付をもって確認済みとしている)

しかし、基本料が無料だったことからアカウントを持っているだけというユーザがそれなりの数居るはずで、SMARTalk のユーザ同士なら通話料も無料なのでアプリ通話が普及する前は、家族間での通話などで活用していた人も多いのではないだろうか。

SMARTalk の SIP情報を確認する

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SMARTalk のマイページにログインし、ユーザアカウント情報というタブをクリックすると、SIPアカウント情報が表示される。

必要なのは ドメインSIPアカウントSIPパスワード の 3点だ。

ドメインは全ユーザ共通で、smart.0038.net になっている。SIPアカウントは自身に割り当てられた 050番号から、先頭の 050 を除いた電話番号の下8ケタになっている。(初期のユーザだと、8150 から始まる E.164形式の電話番号を使っていることもある)

MizuDroid の設定

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Server に smart.0038.net(設定情報のドメイン)、Username に SIPアカウント、Password に SIPパスワード を入力する。

Advanced... をタップする。

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Advanced settings... をタップする。

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OK をタップする。

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SIP Settings... をタップする。

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Use STUN を No にする。

Register を Yes にする。

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右上のハンバーガーメニューをタップして、Save settings をタップする。

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いくつかの権限を求められるので、許可を出す。

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Registered. と表示され、SIP REGISTER できたことがわかる。

コーデックの設定

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マイページで使用可能なコーデックが確認できる。ITU-T G.711μ(PCMU) や Speex(8kHz) が使える。

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Settings、Media Settings... をタップ。

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Audio codec で PCMUGSMiLBCSPEEX を選択して OK をタップ。

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Preferred codec で PCMU を選択。Save settings する。

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オススメの設定

デフォルトのままだとフォアグラウンドの時しか待ち受けしないので、バックグラウンドでも動作するようにする。

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Settings、General Settings...をタップ。

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Run in background を Yes にする。

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また、Display notification を Always にしておくと通知バーに常駐するようになる。

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On double back を Keep running にしておくとバックキーで終了しなくなる。(SIP REGISTER も維持される。バックグラウンドでも着信する)

FUSION SMARTalk から発信する

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Grandstream WP820 に収容した NTT 050 plus 宛に発信。

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すこし見づらいが、FUSION SMARTalk の電話番号(050-5800-xxxx)から掛かってきていることがわかる。

FUSION SMARTalk で着信する

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今度は逆で NTT 050 plus から FUSION SMARTalk の番号宛に発信。

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NTT 050 plus の電話番号(050-3690-xxxx) から掛かってきていることがわかる。

NTT 050 plus との間の通話だと、050 plus 側でコーデックが G.729A に落とされてしまうため、大変音質が悪い。しかし、携帯電話や固定電話など、コーデックに G.711μ(PCMU)を使える相手との通話になれば、非常に音質が良い。

まとめ

MizuDroid は設定できる項目がとても多いのでとっつきづらさはあるが、細かい設定ができるため様々な IP電話プロバイダーを使うことができる。マルチアカウントにも対応しているので、Grandstream GS Wave と並んでとてもオススメできるアプリと言える。

FUSION SMARTalk は新規募集が休止しているのでおすすめしづらいところはあるが、NAT超えなどの特殊な仕掛けも必要なく、すんなりとつながるのでとても使いやすい。バックグラウンドでは Asterisk を使っているらしく、内部の構成がどうなっているかは非常に興味がある。

正直、GS Wave が使えるのであれば設定のしやすさを含めて、GS Wave に軍配が上がるものの、Grandstream社はあまりメンテナンスに積極的とはいえず、いつ公開がとまってもおかしくないので、バックアッププランとして MizuDroid は常にキャッチアップしていきたい。このアプリにどれほどの需要があるかわからないが、今後も機会があれば他の IP電話プロバイダーでの設定例も紹介していく予定だ。

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※1 : TLS が使えない。ポート番号を 5060以外に変えられない。SRTP が使えない。G.729aコーデックが使えない。
※2 : G.729aコーデックが使えない。


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