いろ電話研究所の研究日誌

ODN IPフォンを Grandstream HT802 で使う

2022-07-29 11:01
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以前の記事で SoftBank系050IP電話サービスの ODN IPフォンを、YAMAHA NVR510 に接続したアナログ電話機から使う方法スマホアプリの Grandstream GS Wave で使う方法SIP電話機 Grandstream GXP1625 で使う方法SIP電話機 Grandstream GRP2613 で使う方法Poly VVX250 で使う方法WiFi電話機 Grandstream WP820 で使う方法を紹介してきた。

今回もまた ODN IPフォン の設定情報を紹介する。

一般家庭で使ういわゆるアナログ電話機も、この記事で紹介する FXS ATAゲートウェイという機器を使うことで、IP電話の回線で使うことができる。今回紹介する ODN IPフォンであれば、ファックスでも使えるのでファックス付きの電話機を接続することもできる。(050 plus は仕様のためファックスで使えない)

ODN IPフォンは SoftBank系IP電話基本料金無料SIP情報ありISPフリーとまさに 神サービス なので、あらゆる接続情報を全力でシェアしたい。

Grandstream HT802 とは

SIP用の回線をアナログ電話機で使うための変換を担ってくれるのが、FXS ATAゲートウェイという機械だ。

今回紹介する HT802 は、米国Grandstream社のベストセラーで、2回線分の FXS ATAゲートウェイとして使うことができる。1回線だけ収容できる兄弟機、HT801 もあって設定はほぼ同じなのでどちらでも同じように使える。(HT802 なら同じ場所で 2台が使える)

2022年7月現在は新機種である HT812 も販売されているが、こちらも設定などはほぼ同じように使うことができる。

ODN IPフォンとは

再掲になるが、

ODN IPフォンは、ISP の ODN が同社のユーザ向けに提供している 050番号を使った IP電話サービスで、申込みが必要なものの基本料金はかからず利用できる。ODN の ISPアカウントは、NTT東西のフレッツ光ネクスト向けであれば 1,320円/月(税込み)(2年間は 1,100円/月(税込み))とライバル社と比べても比較的安価なので、ODN IPフォンを使うために現在使っている ISP からの乗り換えを検討してもよいと思う。ちなみに私は、ODN IPフォンを使いたいために ISP を 2,200円/月(税込み)の IIJ から ODN に乗り換えた。

ODN は元々、日本テレコムという JR系の電話会社の提供する ISPサービスだったが日本テレコムが SoftBank に買収されたため、現在は SoftBank の ISPサービスの一部になっている。

SoftBank は光コラボの SoftBank光、NTT東西フレッツ光ネクスト向けの ISPサービスである Yahoo!BB光、そして個人・法人向けのフレッツ光ネクスト向けの ISPサービスである ODN、法人向けのフレッツ光向けの ISPサービスである SpinNet と歴史的な理由もあって 4つの ISPブランドが併売されているが、Yahoo!BB光と ODN は似たようなサービス内容でどちらも 1,320円/月(税込み)なので、IPoE IPv6 が使いたい、BBフォンを使いたい(光BBユニットという独自の CPE をレンタル(レンタル料金が必要)する必要がある)場合は、Yahoo!BB光、ODN IPフォンを使いたい場合は ODN を選べば良い。

同じ SoftBankグループの SoftBank光や Yahoo!BB光では 050番号を使った IP電話サービスとして BBフォンを提供しているが、BBフォンを利用するには 513円/月(税込み)の光BBユニットのレンタルが必要で、さらにいわゆるナンバーディスプレイのようなサービスを使う場合は番号表示サービス 330円/月(税込み)のオプションが必要となり、基本料金は無料であるものの、実質、有料オプションと言ってもよい仕様になっている。

BBフォンと違って ODN IPフォンの場合は汎用の SIP規格を使うので、自前で用意した SIP電話機やスマホの SIPアプリを使うことができ、かつ契約には ODN の ISP契約が必要であるものの、ODN IPフォンの利用自体は他の回線からも可能なので、SoftBank系に通話料無料で ISPフリーで使える、というある意味隠れた名サービスと言える。

なお、通話料が相互に無料になる相手は、ODN IPフォン(電話番号050-20xx-xxxx が多い)、BBフォン(050-1xxx-xxxx)、Dialpad(050-1xxx-xxxx)だけだが、逆に掛けてもらう時は KDDI-IP電話や KDDI系の CATV系事業者(ケーブルプラス電話)からも通話料無料になる。

というサービスで設定情報は郵送で送られてくる。

ODN IPフォンの設定情報

こちらも再掲になるが、ODN から送られてくる ODN IPフォンの設定情報がこちら。

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必要なのは SIPサーバ名、IP電話番号、IP電話パスワードの 3点のみ。ほかは不要。

Grandstream HT802 の設定

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TEL 1ポートにアナログ電話機を接続し、回線種別をプッシュにセット。オンフックして、***02 とダイヤルすると IPアドレスを読み上げられる。

英語なので聞き取りづらいと思うが、内容は アイピーアドレス、アイ、ピー、ヴィー、フォー に続いて数字を読み上げていく。今回はワン、セブン、ツー、ドット、、、スリー、ゼロ、ドット、、、ワン、ツー、エイト、ドット、、、スリー、ナインだったので 172.30.128.39 とわかる。

ブラウザから、IPアドレスにアクセスする。管理画面が開かない場合は、IPアドレスを聞き取り間違えてると思うので、聞き直す。

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デフォルトで Username、Password とも admin なのでログインしてパスワードを複雑なものに変更しておく。

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ADVANCED SETTINGS で STUN server is に stun.l.google.com:19302 と入力。

Use STUN to detect nertwork connectivity を Yes にする。

Applyボタンをクリックして設定を反映させる。

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FXS PORT 1 タブを選択する。(今回は、FXS PORT 1 を別の用途に使っているので、FXS PORT 2 を使う)

Account Active を Yes にする。

Primary SIP Server、Outbound Proxy に blu.odn.ne.jp(SIPサーバ名) と入力する。

NAT Traversal を STUN にする。

SIP User ID に ODN の設定情報の IP電話番号、Authenticate Password に IP電話パスワード を入力する。

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Check SIP USer ID for incoming INVITE と Authenticate incoming INVITE と Allow Incoming SIP Messages from SIP Proxy Only を Yes にする。

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Disable Call-Waiting と Disable Call-Waiting Caller ID と Disable Call-Waiting Tone を Yes にする。

Call-Waiting は NTT東西で言うところのキャッチホンのことで、ODN IPフォンはキャッチホンに非対応なので無効化しておく。

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Preferred Vocoder を choice 1~7 を PCMU にする。choice 8 を OPUS にする。

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Fax Mode を Pass-Through にする。

通話だけの電話機を繋ぐ場合は、Jitter Buffer Type を Adaptive に、Jitter Buffer Length を Low にする。もし、ファックスで使用する場合は、それぞれ Fixed、High にしておく。(ファックスは安定するが、通話が少し遠くなる)

SLIC Setting は JAPAN CO、Caller ID Scheme は NTT Japan にする。これはいわゆる回線と NTT東西で言うところのナンバーディスプレイの設定になる。

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このあたりは呼び出し音の設定で、デフォルトだとアメリカンな呼び出し音になるので気になる場合は調整する。

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このあたりはデフォルトで良い。

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このあたりはデフォルトで良い。最後に、Applyボタンをクリックして設定を適用する。

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STATUS を見ると、FXS 2 が Registered になっているのが確認できる。。

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発信する

HT802 の TEL 2ポートに接続したアナログ電話機から携帯電話に向けて発信。

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すこし見づらいが、ODN IPフォンの電話番号(050-2008-11xx)から掛かってきていることがわかる。

写真は無いが逆の着信も問題ない。通話音質は、コーデックに ITU-T G.711μ(PCMU) を使えるため、非常に良い。

ODN IPフォンを使ったファックスの送受信はこちら

まとめ

様々な SIP機器と各社IP電話サービスで様々な組み合わせをテストしているが、Grandstream の機種は設定画面がわかりにくいのでとっつきづらさはあるが、動作が素直で謎の挙動が起きないので設定がやりやすい。

ODN IPフォンは、STUN などのグローバルIPアドレス検出の仕組みを必要とする点は少し敷居が高いものの、Grandstream の機器であれば概ね STUN も問題なく動作するので、公開STUNサーバの stun.l.google.com:19302 を使わせてもらえば安定して動作する。

ODN IPフォンはコーデックに高音質、低遅延の PCMU を使っているため ファックスでも問題なく使えるため、一般家庭でお使いの固定電話機を置き換えることができる。

特に頻繁に引っ越しをする人の場合、固定電話機を設置しても引っ越しのたびに電話番号が変わってしまい、各所の変更の手続きをすることが煩雑だと思うが、ODN IPフォンであれば引っ越しても割り当てられた電話番号は変わらないので、持っておくと便利だと思う。

SoftBank系IP電話基本料金無料SIP情報ありISPフリーと、まさに 神サービス と言える。

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※1 : TLS が使えない。ポート番号を 5060以外に変えられない。SRTP が使えない。G.729aコーデックが使えない。
※2 : G.729aコーデックが使えない。


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