いろ電話研究所の研究日誌

050 plus を Grandstream HT802 で使う

2022-08-02 13:01
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今回の記事では 050 IP電話サービスの 050 plus を固定電話機で使う方法を紹介する。なおファックスは非対応なのでファックスを使いたい場合は ODN IPフォン をオススメする。

050 plus は NTTレゾナント(2022年7月に NTTコミュニケーションズからサービス移管)が提供する 050 IP電話サービスで、少し特殊な設定が必要なものの、標準的な仕様の SIP が使える電話機から使うことができる。

一般家庭で使ういわゆるアナログ電話機も、この記事で紹介する FXS ATAゲートウェイという機器を使うことで、IP電話で使うことができる。今回紹介する 050 plus は仕様のためファックスは使えない。

Grandstream HT802 とは

SIP用の回線をアナログ電話機で使うための変換を担ってくれるのが、FXS ATAゲートウェイという機械だ。

今回紹介する HT802 は、米国Grandstream社のベストセラーで、2回線分の FXS ATAゲートウェイとして使うことができる。1回線だけ収容できる兄弟機、HT801 もあって設定はほぼ同じなのでどちらでも同じように使える。(HT802 なら同じ場所で 2台が使える)

2022年8月現在は新機種である HT812 も販売されているが、こちらも設定などはほぼ同じように使うことができる。

アナログ電話機の場合は物理的に配線が要るので電話線でつながったところにしか電話機を設置できないが、SIPプロバイダ + FXS ATAゲートウェイの構成なら、IP部は Wi-Fi なども使えるので使い方次第では便利な子機が設定できることになる。

050 plus の SIP情報

こちらも再掲となるが、curl コマンドで取得することができる。面倒であれば、ブラウザから 050 plus の SIP情報を取得できる HTML を公開している人がいるので、それを使用する。

curlコマンドは、

% curl \
-X POST \
--header "User-Agent: hoge" \
--data 'ifVer=7.0&apVer=2.0.4&buildOS=IOS&buildVer=5.1&buildModel=Android&earlyStFlg=0&no050=(050電話番号)&pw050=(パスワード)' \
https://start.050plus.com/sFMCWeb/other/InitSet.aspx \
>050plus-0503690xxxx.xml

このコマンドを実行するとアカウント情報が、050plus-0503690xxxx.xml に保存される。

xmllintコマンドで中身を見ると、

% xmllint --format 050plus-0503690xxxx.xml
<?xml version="1.0"?>
<replyInfo>
 <resultInfo>
   <resCd>N0000</resCd>
   <resMsg>正常に終了しました</resMsg>
   <errCd/>
 </resultInfo>
 <resultEarlySt>
   <sipID>ThisIsSIPID</sipID>
   <sipPwd>ThisIsSIPPassword</sipPwd>
   <tranGwInfo>
     <tranGwAd>kar-f2fcp.050plus.com</tranGwAd>
     <payTranGwPNm>443</payTranGwPNm>
     <freeTranGwPNm>5075</freeTranGwPNm>
     <nicNm>fmc3690xxxx</nicNm>
     <pingTm>600</pingTm>
     <pongTm>120</pongTm>
   </tranGwInfo>
   <ticketInfo>
     <ticketEx/>
   </ticketInfo>
   <chargPlan>02</chargPlan>
   <frdCd>301TSQ49</frdCd>
   <rNo050>0503690xxxx</rNo050>
   <rDistingId>xxxxxxxxx</rDistingId>
 </resultEarlySt>
</replyInfo>

必要な情報は、tranGwAdpayTranGwPNm(SIP REGISTER する際の SIPサーバ、並びに SIP Proxyサーバ、ポート番号)、nicNm(SIP Username)、sipID(SIP Auth Name)、sipPwd(SIP Password)なのでこれをメモする。

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nicNm は、fmc + (電話番号から先頭の 050 を除いたもの)になっているはずだ。sipID と sipPwd は英数字のランダムな文字列が使われている。

Grandstream HT802 の設定

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TEL 1ポートにアナログ電話機を接続し、回線種別をプッシュにセット。オンフックして、***02 とダイヤルすると IPアドレスを読み上げられる。

英語なので聞き取りづらいと思うが、内容は アイピーアドレス、アイ、ピー、ヴィー、フォー に続いて数字を読み上げていく。今回はワン、セブン、ツー、ドット、、、スリー、ゼロ、ドット、、、ワン、ツー、エイト、ドット、、、スリー、ナインだったので 172.30.128.39 とわかる。

ブラウザから、IPアドレスにアクセスする。管理画面が開かない場合は、IPアドレスを聞き取り間違えてると思うので、聞き直す。

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デフォルトで Username、Password とも admin なのでログインしてパスワードを複雑なものに変更しておく。

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FXS PORT 1 タブを選択する。(今回は、FXS PORT 1 を別の用途に使っているので、FXS PORT 2 を使う)

Account Active を Yes にする。

Primary SIP Server に 050plus.com と入力する。

Outbound Proxy に kar-f2fcp.050plus.com:443 と入力する。

SIP Transport を TLS にする。

NAT Traversal を Keep-Alive にする。

SIP User ID に取得した SIP情報の nicNm、Authenticate ID に sipID、Authenticate Password に sipPwd を入力する。

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Check SIP USer ID for incoming INVITE と Authenticate incoming INVITE と Allow Incoming SIP Messages from SIP Proxy Only を Yes にする。

2022-09-09追記:

050 plus は Authenticate incoming INVITE を有効にしておくと着信ができないので、この項目は No にしておく。

追記終わり。

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Disable Call-Waiting と Disable Call-Waiting Caller ID と Disable Call-Waiting Tone を Yes にする。

Call-Waiting は NTT東西で言うところのキャッチホンのことで、050plus はキャッチホンに非対応なので無効化しておく。

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Preferred Vocoder を choice 1~8 を G729 にする。

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Jitter Buffer Type を Adaptive に、Jitter Buffer Length を Low にする。

SRTP Mode を Enabled and forced にする。

SLIC Setting は JAPAN CO、Caller ID Scheme は NTT Japan にする。これはいわゆる回線と NTT東西で言うところのナンバーディスプレイの設定になる。

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このあたりは呼び出し音の設定で、デフォルトだとアメリカンな呼び出し音になるので気になる場合は調整する。

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このあたりはデフォルトで良い。

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このあたりはデフォルトで良い。最後に、Applyボタンをクリックして設定を適用する。

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STATUS を見ると、FXS 2 が Registered になっているのが確認できる。。

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まとめ

050 plus は月額330円(税込み)でプロバイダフリーに使える SIPアカウントを払い出してくれる数少ないサービスではあるものの、SIP の標準的な設定(UDP/IP 5060ポート、非SRTP、PCMUコーデックで使う)が使えないことで、少し敷居は高いものの、一度設定してしまえば安定して使えるのでとてもオススメのサービスだ。

コツとしては、SIP URI が nicNm @ 050plus.com になる、認証の SIP Domain が 050plus.com、SIP AuthName が sipID、SIP AuthPassword が sipPwd になる、Outbound Proxyサーバとして kar-f2fcp.050plus.com:443(tranGwAd : payTranGwPNm)を使う、コーデックとして G.729A を使う、といった要点さえ抑えておくと良い。特に着信はするのに発信できないといったトラブルが出ているときは、コーデックの設定が間違っていることが考えられるので(PCMU などを提案してしまっている)、今一度、設定が上記の組み合わせになっているか、見直してみること。

イオンモバイルで提供される話し放題の 050 IP電話オプションも中身としては 050 plus の OEM版(050 SDK)なのでほぼ同じ設定で動くはずだ。イオンモバイルで使う場合は SIP URI が nicNm @ 050sdk.com、認証の SIP Domain が 050sdk.com、Outbound Proxyサーバが kar2-f2fcp.050sdk.com:443 と読み替えて設定して欲しい。

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※1 : TLS が使えない。ポート番号を 5060以外に変えられない。SRTP が使えない。G.729aコーデックが使えない。
※2 : G.729aコーデックが使えない。


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